トヨタ「ヤリス」の最安モデルは、150万1000円というお値打ち価格が魅力。では、どんな人が買っているのでしょうか。
■実は狙い目なヤリスの最安モデル
生活に必要なものまでどんどん値上がりするなか、新型車の車両本体価格も軒並み高騰しています。
そんななか、街中で見掛ける日がないほど人気車種のひとつトヨタ「ヤリス」のエントリーモデルは、今もなお、非常に魅力的な価格を維持しています。あえてエントリーを選ぶのはどのような人なのでしょうか。
2020年2月に発売を開始した「ヤリス」。従来の「ヴィッツ」の後継にあたり、トヨタのなかでも親しみやすいベーシックなコンパクトカーです。
現行型は通算4代目で、「上質な乗り心地」と「最新の安全・安心技術」を備えたクルマを目指して開発。
コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム「GA-B」を初採用し、軽量かつ高剛性、さらに低重心なボディを得ています。
ボディサイズは全長3950mm×全幅1695mm×全高1495mm、最小回転半径は4.8mと、ギリギリ5ナンバーサイズ枠ではあるものの、現代のクルマのなかではコンパクトな部類です。
エンジンおよびトランスミッションは、1リッターおよび1.5リッターガソリンエンジンと、1.5リッターガソリンハイブリッド。トランスミッションはCVTのほか、6速MTも選べます。
駆動方式は2WDおよび4WDと、ユーザーのニーズに応じてさまざまな組み合わせが可能です。
そんなヤリスの車両本体価格は、エントリーグレードの「X(2WD)」では151万1000円から、最上級仕様「ハイブリッドZ(4WD)」は269万4000円までと、幅広く展開されているのも特徴です。
このうちXは、国産普通乗用車ではダントツの安さ。もはや軽自動車並みの価格といっていいほど、非常に魅力的な販売されていますが、どのようなユーザーに支持されているのでしょうか。
首都圏にあるトヨタ販売店A店のスタッフは以下のように話します。
「売れ筋はハイブリッドモデルです。首都圏だと2WDモデルが主流ですが、ご実家が雪国の方、ウィンタースポーツを楽しみたい方は4WDを選ばれています。
(Xを選ぶ方は)軽自動車ではなく、乗用車で価格が比較的安く、しかも壊れないクルマとして調べていくうちにヤリスにたどりついたというお客様が多いですね。
エントリーグレードといってもエアコンやエアバッグが装備されています。先進機能のトヨタ セーフティ センスも、一部機能がカットされてしまいますが、必要にして充分な装備がそろっています。
ご高齢の方など、必要最低限の装備があればそれで充分といったお客様にお選びいただいていますね」
また、別の販売店B店のスタッフは以下のようにコメントしてくれました。
「お嬢様の就職が決まり、ヤリスのエントリーグレードを選ばれたお客様がいらっしゃいましたね。
(その方は)新車を買ってあげたいが予算が限られている。軽自動車だとぶつけられたときに心配だし、自分もずっとトヨタ車に乗ってきたから、壊れないクルマであることは理解しているつもりだ。
最近のクルマは高くなったけど、ヤリスの下の方のグレードであれば、軽自動車と変わらないくらいの価格帯であることを知った。壊れなくて燃費が良く、さらに価格もそれほど高くはない。
ボディカラーは娘に好きな色を選ばせるつもりだということでした。
ご契約いただいたのは昨年の今ごろのことでしたが、お父様に伺ったところ、お嬢様は毎日ヤリスに乗って通勤しているそうです」(B店スタッフ)
一部の装備が限られる廉価モデルとはいえ、予防安全装備の「トヨタ セーフティ センス」も標準装備で、「パーキングサポートブレーキ(前後方静止物検知機能付き)」も備わるなど、現代のクルマに必要なものは揃っているのです。
最安ということに注目されがちではありますが、「安かろう悪かろう」ではなく、とてもミニマムでかつ、しっかり中身がつまったクルマに仕上がっているのは、さすがトヨタのエントリーモデルです。