SNSでは、「ゴールド免許だと交通違反をしても点数が消えてゴールドを維持できる」というウワサが見られます。これは本当なのでしょうか。
■「ゴールド免許」を維持する条件とは?
優良運転者を対象に交付される「ゴールド免許」。
これは運転免許証に金色の帯がプリントされているために呼ばれる“通称”で、正式名称は「優良運転者免許証」です。
そんなゴールド免許についてSNSでは時々、「ゴールド免許だったら交通違反をしても点数が消えてゴールドを維持できる」というウワサが見られます。
はたしてこれは本当なのか、ウワサの真偽について解説します。
結論から先に言うと、上記のウワサは間違いです。
まず、ゴールド免許になる条件は、「継続して免許を受けている期間が5年以上で、免許更新年の誕生日の41日前から起算して、過去5年間に交通違反やケガのある事故(人身事故)を起こしていない」こと。
つまり軽微な内容であっても、過去5年間に交通違反を起こしていれば「ブルー免許」に格下げになります。
ではなぜ上記のようなウワサが出てくるのでしょうか。
それは「無事故・無違反のドライバーに対する優遇措置」があるからです。
優遇措置の内容としては、もともと交通違反の点数を計算する際は過去3年以内の違反点数を合計する仕組みですが、1年間無事故・無違反の状態で交通違反をすると、それまでの違反点数は累積しない、というもの。
たとえば、「過去3年以内に2点の違反を1回、その違反から1年経たないうちに2点の違反をもう1回、さらに無事故・無違反で1年以上経過した後に3点の違反をした」とします。
上記の場合、2回目の違反から3回目の違反までに無事故・無違反で1年以上経過しているため、それまでの違反の合計4点は累積せず、3回目の3点の違反のみが累積するのです。
加えて、2年以上無事故・無違反のときに違反点数が3点以下の軽微な違反をした場合、その後3ヶ月以上無事故・無違反で経過すれば、その軽微な交通違反の点数は加算されない、という優遇措置もあります。
これらのような優遇措置があることを間違って理解したユーザーから、「ゴールド免許だったら交通違反をしても点数が消えてゴールドを維持できる」というウワサが広まったのでしょう。
しかし優遇措置によって点数が累積されなくとも、してしまった交通違反自体は「違反歴」として残るため、免許更新の際にゴールド免許は維持されず、ブルー免許に格下げになります。
■でも「ゴールド免許に影響しない違反」も存在する! どんな違反?
先述したとおり、基本的に交通違反をすればゴールド免許からブルー免許に格下げになりますが、実は「免許の色に影響しない違反」も存在するのです。
それは具体的には、「免許証不携帯」「泥はね運転」「公安委員会遵守事項違反」「運行記録計不備」「警音器使用制限違反」の5種類で、これらの違反をした場合には点数は加算されず、反則金のみ払うことになります。
泥はね運転はその名のとおり、雨天時に水たまりやぬかるみを走行する際に、歩行者に泥や水をかけること。
公安委員会遵守事項違反は、「サンダルや下駄でクルマを運転してはいけない」「カーオーディオを大音量にしたり、イヤホンで音楽を聴くなど、運転に必要な交通に関する音が聞こえない状態で運転してはいけない」といったように、都道府県によってさまざまなルールが定められているため、注意が必要です。
運行記録計は、貸し切りバスや路線バス、トラック、ハイヤー、タクシー、事業用自動車に装着する「運行時間中の走行速度などの変化をグラフ化することでその車両の稼働状況を把握する装備」であり、装備に故障や機能不全、メモリーカードの未挿入といった不備があった場合に違反となります。
警音器使用制限違反は、道路交通法第54条によって定められた場所や機会以外でクラクションを使用してはならない、と定められたルールで、「危機回避を必要としない状況で他のクルマにクラクションを鳴らすこと」を禁じているほか、街中でよくある「挨拶やお礼の代わりにクラクションを鳴らす行為」も違反です。
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このように、たとえゴールド免許だとしても過去5年間に交通違反を起こしていれば、ブルー免許に格下げになります。
ただし、免許の色に影響しない5種類の違反も存在するため、この場合は反則金の支払いのみで、ゴールド免許が維持されるのです。