かつて、SNSで「エンジンブレーキがうざい」とする投稿があり、クルマユーザーを中心に大きな話題になりました。エンジンブレーキはどのように使うのが正しく、反対にどういった点に注意が必要なのでしょうか。
■長い下り坂ではどのように走行すべき?
かつて、SNSで「エンジンブレーキがうざい」とする投稿があり、クルマユーザーを中心に大きな話題になりました。
エンジンブレーキはどのように使うのが正しく、反対にどういった点に注意が必要なのでしょうか。
フットブレーキは、足元のブレーキペダルを踏むことで発動するブレーキで、自転車のハンドブレーキの仕組みのように摩擦力によってクルマを減速させるもの。車軸側のディスクをブレーキパッドで挟みこむ方式や、ブレーキドラムを内側からシューを押し付ける方式などがあります。
一方のエンジンブレーキは、エンジンの回転によって発生している抵抗を利用する減速方法で、エンジンがだんだん止まろうとする力が車軸側の回転にも伝わるという仕組みです。
アクセルを離せばエンジンの回転力が落ちていき、車軸がそれにつられる形でエンジンブレーキが効き始めますが、さらに強く効かせるためには1・2段階低いギアへシフトダウンします。
エンジンブレーキはMT車特有のテクニックのようなイメージもありますが、実はAT車でもシフトノブを「L」「2」「S」(「B」と表記される場合もあり)のポジションに落とすことで、エンジンブレーキを使用することができます。
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さて、このエンジンブレーキの活用について、かつてSNS上で「エンジンブレーキがうざい」「迷惑運転だ」などと話題となりました。
エンジンブレーキが迷惑だと感じられてしまうのはなぜなのでしょうか。
ブレーキペダルを踏むと、連動して車体後部の「ブレーキランプ」が赤く点灯し、ブレーキを踏んでいることを後続車へ知らせる役目を果たします。
一方で、エンジンブレーキはブレーキペダルを踏まないことから、ブレーキランプが点灯しません。
そのため、後続車からはブレーキランプが点灯していないのに減速し始め、「急に車間が詰まった」ように感じられるのです。
漫然と運転している場合、ランプの合図無く急に車間距離が近づき、思わぬ追突事故を起こしてしまうので、注意が必要です。
とはいえ、そうした「不意の出来事」に対応できるように、十分な車間距離というものが必要なわけです。「急減速したあいつが悪い」と責任を押し付けたところで裁判所は「追突側も回避可能だった」と判断される可能性がありますし、事故を起こすこと自体、時間やお金、気分が台無しになってしまいます。
何か不用意なことが発生した時にこそ、真価を発揮するのが、車間距離です。それは心の余裕にもつながります。「前のクルマが急に減速したらどうしよう」と常に頭の片隅に置く「かもしれない運転」も心がけましょう(そこへ意識を向けすぎるのも、他の要素がおろそかになるので、注意が必要です)。
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一方で、エンジンブレーキを「積極的に活用すべき場面」もあります。
それが、アクセルを踏まなくても徐々に速度が上がってしまうような長い下り坂です。
こういった長い下り坂でフットブレーキを使い続けると、ブレーキが発熱してフェード現象やベーパーロック現象を起こし、ブレーキの減速効果を失ってしまう恐れがあります。
こういった現象を避けるためには、エンジンブレーキを活用することが有効です。