スズキは2025年1月30日、小型四輪駆動車「ジムニー」シリーズで初の5ドアモデルとなる新型「ジムニー ノマド」を発表し、4月3日より発売します。1990年代初頭に大ヒットした名車のネーミングの復活という点でも注目されます。
■往時を知るオジサンも「感涙」! 懐かしいネーミングが帰ってきた!
スズキは2025年1月30日、新型「ジムニー ノマド」を発表しました。4月3日より発売されます。
小型四輪駆動車「ジムニー」シリーズで初の5ドアモデルとして注目されますが、一方で1990年代初頭に大ヒットした名車のネーミングの復活という点でも、往年のファンを中心に早くも話題を集めているようです。
鳴り物入りで日本デビューを果たした新型ジムニーノマドは、いわゆる「ジムニーシエラ」の5ドア版と言えるモデルです。
シエラの全長が3550mmだったのに対して、ノマドは3890mmに拡大。ホイールベースも2250mmから2590mmに伸びています。
これにより、リアの居住性と積載性能が向上しています。
リアドアの追加によって後席へのアプローチもたやすくなっただけでなく、後席のヒップポイントが後方に50mmズレたことで、足元の空間が拡大されました。後席の床長は300mm確保されています。
また荷室空間は、後席使用時で211リットルものの容積になり、シエラよりも152リットルもアップしています。
これは、アウトドアレジャーなどに使っているユーザーやファミリー層にはうれしいポイントだと言えるでしょう。
エンジンはシエラと同型の1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンですが、ロングボディ化にあたってラダーフレームのクロスメンバー追加、フロントサスペンションの強化、フロントブレーキのベンチレーテッド化、ATの高強度化、プロペラシャフトの一部大径化が実施されました。
これにより車両重量は100kg増加し、燃費性能面では低下しています。
ノマドは安全装備面でも進化していますが、特にAT車で機能の充実が図られており、AT車には念願の「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」が付いたことは特筆すべき点ではないでしょうか。
ジムニー5ドアモデル自体は、2023年1月にインドで世界デビューを果たしています。
インドやインドネシア、中南米、アフリカでは「ジムニー」、オーストラリアでは「ジムニーXL」の名前で流通していますが、日本では今回新たに「ノマド」のサブネームが付けられました。
■由来は90年代初頭に大ヒットした名車「エスクード“ノマド”」から
新型ジムニー“ノマド”の名を聞いて、往年の名車を思い出す人がいるのではないでしょうか。
ノマド、つまり「遊牧民」を意味するこの名が付けられたのは、初代「エスクード」のことでした。
エスクードは1988年に生まれたモデルです。
ヨーロッパ車のような内外装デザイン、オンロード性能と悪路走破性を両立させた足回り、そして燃費のいい1.6リッターエンジンとコンパクトサイズが特徴でした。
当時はトヨタ「ランドクルーザー」や三菱「パジェロ」といった重厚なクロスカントリー4WDが主流でしたが、燃費がよく都市部でも気兼ねなく使えるエスクードは大ヒット。
後のSUVにつながる「ライトクロカン」というカテゴリーを創りました。
当初は3ドアショートボディのハードトップとソフトトップがラインナップされていましたが、より実用的な5ドアモデルとして1990年に登場したのが「エスクードノマド」です。
“たっぷりの荷物を積んで、自由に移動する”というクルマのイメージを遊牧民に重ね合わせて、ノマドのサブネームが与えられました。
エスクードの拡販に大いに貢献したエスクードノマドでしたが、1996年には3ドア、5ドアともにエスクードの名称に一本化され消滅しています。
これを29年ぶりに受け継いだのが、今回の新型ジムニーノマドです。
伝統的なラダーフレーム構造とリジッドアクスルサスペンションを継承し、ロングボディ化で使い勝手のいい後席・荷室を実現したということから、同じようなキャラクターのエスクードノマドから名前を受け継がせたと、スズキでは説明しています。
エスクードは欧州市場戦略車として生まれたため、「NOMADE」というフランス語の表記が採用されましたが、ジムニーノマドも同様の欧文表記。
となれば、昨年ジムニーの販売中止が発表されたヨーロッパにおいて販売されることも考えられるのではないでしょうか。
しかし、ジムニーの開発担当者は否定的です。
「欧州の排ガス規制・ユーロ5は非常に厳しく、さらに今後はユーロ6に強化される予定です。
欧州でも5ドアモデルの期待が高まっていることは把握していますが、もし販売するとしたら“別のカタチ”として考えていかなければならないと思います」
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現状では国内専用となりそうな新型ジムニーノマドのネーミング。
日本仕様のリアゲートには、同モデル名の鋳物調エンブレムが付けられていますが、海外ではドレスアップとして人気を呼びそうです。