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日産の「6人乗りセダン“ミニバン”」がスゴイ! スライドドア&ピラーレスで“超大開口”! 斬新ハンドル&小さめシフトもイイ「セレニティ」とは

くるまのニュース 2025年2月1日 10時10分

2003年開催の第37回東京モーターショーで日産が出展したコンセプトモデル「セレニティ」とは、どのようなクルマだったのでしょうか。

■斬新デザインの6人乗りセダン“ミニバン”

 自動車メーカーが未来のデザイン、技術、機能性を示すために制作する試作車、コンセプトモデルは、さまざまなモーターショーやイベントでお披露目されています。

 2003年開催の「第37回東京モーターショー」でも多くの人が注目し、その後のクルマづくりに影響を与えたコンセプトモデルが多数出展されました。

 その中でも日産が出展した「SERENITY(セレニティ)」は、日本の美意識や未来的な快適性を追求したコンセプトモデルとして注目されました。

 セレニティは、セダンのスポーティ性・ラグジュアリー性とミニバンの居住性を融合した6人乗りMPV(マルチパーパスヴィークル=多目的車)で、日本のDNAをテーマに開発され、日本文化特有の洗練された静けさを表現したコンセプトモデルでした。

 そのコンセプトは、歌舞伎の化粧をイメージしたフロントマスクや、扇子を想起させる特徴的なサイドウインドウに表れているほか、インテリアでも水墨画や桜、波模様など日本のインスピレーションを受けたデザインになっています。

 エクステリアは、流線型のシルエットと彫刻的なラインが特徴で、空力性能を最大化するために緻密に設計されています。フロント部分は、日産のVモーショングリルを進化させたデザインを採用し、フルLEDのスリムなヘッドライトがボンネット前端から後端まで続き、未来的な印象を強調しています。

 ボディサイドでは、ドアハンドルがフラッシュデザインとして隠され、滑らかなフォルムとなっています。また、ルーフ全体にソーラーパネルが組み込まれ、外部電力に依存しないエコフレンドリーなアプローチを提案しています。

 リアデザインは、テールランプが一体化したスリムな縦型バータイプを採用し、洗練されたスタイルを演出しています。

 キャビンは非常に広々としており、人間工学に基づいて設計されたオットマン付きの「ストレスフリーシート」が採用され、快適な室内空間を提供しています。また、シートはニュートラル姿勢のコンセプトに基づいて、シートバックは中折れしてリクライニングし、座る人の体圧を分散し、腰に負担がかからないようになっています。

 インパネでは、長方形に近い形状の特徴的なステアリングホイールの内外部に4つのスイッチを配置して各種機能をコントロールできる「マジック4コンセプト」や、液晶ディスプレイと有機ELディスプレイを融合した「ホリゾンタルメーター」が採用され、ドライバーに最適でタイムリーな情報を提供します。

 斬新で先進的な室内空間ですが、シフトノブやインパネのトリムにウッド素材が用いられ、有機的でなめらかなラインの造形と相まって、温かみも感じる仕上がりとなっています。

 全体のデザインは、無駄を排したミニマルな美学を体現しつつ、和の要素をふんだんに取り入れて、視覚的にも感性的にも未来のモビリティを感じさせていました。

 パワートレインには、当時のスカイライン(V35型)、フェアレディZ(Z33型)などに搭載されていたV型6気筒3.5リッター「VQ35型」エンジンを搭載、トランスミッションはエクストロニック式CVTを組み合わせていました。

 セレニティは市販化には至りませんでしたが、その後の日産車の開発に影響を与えていたようです。

 2008年デビューのミドルセダン2代目「ティアナ」は、セレニティのインテリアで見られた曲面的でモダンな空間となっていました。また、現在販売中の「アリア」「サクラ」のインテリアに和の要素が取り入れられており、セレニティのコンセプトに通じるものがあります。

 さらに現在の日産車の大半が採用する「ゼログラビティシート」が、セレニティが採用していたシートと同様の意図を持つものとなっていることも挙げられます。

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