交通違反を取り締まる「覆面パトカー」は、実はさまざまな見分け方があります。
■ふいに現れる「覆面パトカー」 どう見分ける?
スピードオーバーなどの交通違反を取り締まる「交通機動隊」では、取り締まりのときだけ赤色灯が現れる「覆面パトカー」が運用されています。
一般車に紛れており、ふいに赤色灯を点灯させた状態で違反者の前に現れますが、実は赤色灯を点灯させなくてもそれが覆面パトカーだとわかる「見分け方」があるのです。
まずクルマ自体の特徴としては、「高性能な国産4ドアセダン」が多い傾向にあります。これは、速度超過した違反車両にすぐに追いつける性能と、車内で違反処理ができる居住性が必要なためです。
現在はトヨタ「クラウン」や日産「スカイライン」などが多いですが、基本的に限られた国の予算から全国に配備されるため、「白」「黒」「グレー」「シルバー」などのシンプルな色が採用されています。
オプションであるようなメタリックやパールは少なく、また、目立ちやすい赤などもなく、周囲のクルマと溶け込みやすい点も理にかなっているといえます。
同様に、やはり多くは国の予算で大量導入されるものなので、エアロやコーナーポール、ドアバイザーなどのオプションもありません。
ただしこれらは一般車とそう大差ないこともあります。そこで、やはり注目すべきは「パトカー専用装備」です。
交通機動隊の覆面パトカーは先述の通り、普段は赤色灯が隠されています。
これは、ルーフに内蔵式の赤色灯が格納されており、車内のスイッチを操作することで、ルーフに設けられたフタがパカッと反転して、赤色灯が展開される仕組みになっています。
つまり、この赤色灯を取り付けるため、ルーフは一部が四角く切り取られているのです。トラックやバス、SUVなど車高の高いクルマに乗っている場合はすぐ見分けられます。
マニアックなところだと、「外部アンテナ」にも特徴があります。
警察車両は警察無線用アンテナを備えており、かつては自動車電話型のトランクアンテナや、リアウインドウに装着するアナログテレビ風のダイバーシティアンテナを装着するものが主流でした。しかし、現在は比較的小ぶりなアンテナに変わっています。
一方、それでも外部アンテナは必要なため、どうしても“後付け”が必要になりますが、配線の取り回しが少々雑だったり、純正ではアンテナが露出していない内蔵タイプなのに不自然にアンテナがついている場合はビンゴかもしれません。
とはいえ、こうした専用装備で見分けることも可能ですが、少々難しいかもしれません。
また、ナンバーに注目するのも見分け方のひとつです。
警察では各都道府県ごとの管轄をまたいで違反車両を取り締まらないので、例えば東京の品川ナンバーを付けた警視庁のパトカーが愛知県内を走行することは基本的にありません。
そのため、今走行している地域とナンバーが一致しているかをチェックするのも有効です。
ただし、県境での取り締まりの場合は、隣の都道府県や地域のナンバーの覆面パトカーが運用されていることもあります。
例えば、東京都と神奈川県の境目では、警視庁の世田谷・練馬ナンバーなどのパトカーと、神奈川県警の川崎・横浜ナンバーなどのパトカーがいることがあり、確実とはいえません。
■覆面パトカー「最大の見分け方」とは
では、最大の見分け方は何でしょう。それは「走り方と雰囲気」です。
先出の高性能セダンに乗ると、どうしても少々速いペースで走りたくなる人もいるかもしれませんが、覆面パトカーは「違反者を取り締まる側」なので、キッチリ法令遵守で走行します。
制限速度をぴったり守って走行するだけでなく、複数の車線がある場合は、まさに教本通りに左側車線を走行します。
追跡のために車線変更する場合、ウインカーはきっちり「3秒前」から「その行為が終わるまで」点灯。
当然、ムダな加減速や、空いているからといって右へ左へとみだりな車線変更、追い越し車線でアクセルをガンガン踏んでかっ飛ばすようなことは絶対にしません。
この走り方だけでなく、クルマの雰囲気も「全体的にそれっぽい」感じがします。
警察では毎日、義務付けられている日常点検を欠かさず行っており、ライトの球切れなどはまずありえなく、車体やホイールの隅々までピカピカです。
不要なステッカーや装飾、明るすぎるライトの装備などは一切なく、リアウインドウには「車庫証明ステッカー」がきっちりと貼られ、非常に真面目な出で立ちです。
ところが、違反車両を見つけると即座に車線変更して追跡を開始し「覆面パトカー」になります。
速いペースで走るクルマの後ろを、“豹変”したように猛加速して追いかける真面目な4ドアセダンがいた場合は、ほぼ間違いなく交通機動隊の覆面パトカーです。
ちなみに、覆面パトカーにはいくつか種類があり、すべてが交通違反を取り締まるものではありません。
今回のような交通機動隊所属の車両以外にも、刑事が捜査で用いるものや要人警護を担うもの、ゲリラなどの取り締まりで使う機動隊車両の覆面パトカーもあります。
こうした交通機動隊ではない覆面パトカーは、交通取締りには運用されておらず、やはり求められる条件も違うことから、赤色灯が脱着式だったり、そもそもクルマがコンパクトセダンやミニバンタイプであるなど、クルマの特徴も異なるのです。
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覆面パトカーをはじめ、緊急走行ではない交通機動隊のパトカーが周囲にいる場合は、その道路で事故が多かったり、スピード違反が多い場所であるため、警戒をしているのです。
ルールを守っていれば警察車両に遭遇しても緊張する必要はありませんが、「パトカーがいるってことはいつも以上に気をつけなければいけないんだな」と考え、安全運転に努めましょう。