クルマのタイヤをよく見ると、「赤い丸」「黄色い丸」のペイントがされていることに気づきます。何が意味ありげで、ペイントの理由が分からないと「何か問題が起きているのか?」と不安になってしまうかもしれません。一体どういう意味なのでしょうか。
■「謎のマーク」の正体は
クルマのタイヤをよく見ると、「赤い丸」「黄色い丸」のペイントがされていることに気づきます。
何が意味ありげで、ペイントの理由が分からないと「何か問題が起きているのか?」と不安になってしまうかもしれません。一体どういう意味なのでしょうか。
●黄色の丸
正式名称は「軽点マーク」といいます。
このマークがある部分が、このタイヤにおいて一番「軽い」部分を表します。
「タイヤのなかの軽い重い」というのがそもそもよく分からない人がいるかもしれませんが、円形に均等に作られているように思えるタイヤも、外径(ゴム厚)をはじめ、どうしてもある程度の「不均質」が生まれてきます。タイヤを水に浮かせると、水平から微妙に傾いて浮かぶことになりますが、その浮かび方が大きいのが、軽点にあたります。
もちろん走行に影響があるレベルではありませんが、ホイールを組み付ける際に、参考となります。
ホイールにも軽い重いの不均質があります。具体的には「エアバルブ」がある部分が重いので、走行中にグルグル回転していると、エアバルブの重みがわずかな走行性に影響してくる可能性があります。
それを少しでも相殺するために、プロの自動車整備士は、ホイールのエアバルブ部分にタイヤの「軽点」を合わせるというわけです。
丸合わせ以外に、ホイール内側に「バランスウェイト」と呼ばれる小さな金属パーツを装着して、不均質性を相殺する場合もあります。
●赤色の丸
正式名称は「ユニフォミティマーク」といいます。
こちらは軽い重いではなく「外径」が「最も大きい」部分を表します。先述のとおり、タイヤは製造上の不均質が生じ、外径が大きい部分(飛び出した部分)、小さい部分が微妙に生じます。
ホイールを取り付ける際に、タイヤの「外径が最大」部分と、ホイール側の「外径が最小」部分を合わせることで、飛び出した部分が内側へ引き込まれ、全体として真円に近づくというわけです。
この「ホイール側の外径最小」の目安もあり、「ボトムマーク」などとして、白や青のマークが表示されていることがあります。
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これら「黄色の丸」「赤色の丸」は法律で決められているわけでなく、あくまで参考としてつけられたものであり、取り付け時に厳守しなければ事故が起きるというわけではありません。
また、どちらも不均質を相殺するものですが、黄色の丸に合わせるのか(重み重視)、赤色の丸に合わせるのか(外径重視)すら、対応元によってまちまちです。
メーカーの間でも「当社は重みに関しては均質さが十分なので、外径合わせを優先すればいいです」「当社は真円さに自信があるので、重み合わせを優先すればいいです」などと品質管理の方針が異なっていて、マークの有無にも関わってきます。
少なくとも、私たちドライバーが「日常的に気にする」マークではありません。
ただ、タイヤをホイールから外す交換作業を自分でおこなう人であれば、知っておいて損は無いかもしれません。