1989年にトヨタが発表したコンセプトカー「4500GT エクスペリメンタル」。トヨタ「2000GT」の後継車と呼ばれた同車は、一体どのようなクルマだったのでしょうか。
■トヨタ「2000GT」の後継車が存在した!
1967年に登場した「2000GT」は、美しいデザインと当時としては破格の走行性能を併せ持ったトヨタの名車です。
同車は、今なお語り継がれるほどの歴史的な一台ですが、かつてその後継と目されたコンセプトカーが存在しました。
それが、1989年に発表された「4500GT エクスペリメンタル(以下、4500GT )」です。
4500GTは、1989年にトヨタが発表した2ドアクーペのコンセプトカー。
同年のフランクフルトモーターショーで初めて公開され、10月に開催された第28回東京モーターショーでも披露されたため大きな注目を集めました。
そんな4500GTの特徴は、なんといっても斬新なエクステリアデザインにあります。
フロントはフロントオーバーハングの長いスポーティなデザインですが、リアはルーフ側からバンパー部分まで下るフォルム(いわゆるコーダトロンカ形状)を採用。
これによって、まるで滑り台のような個性的なスタイルとなり、またフロントは縦長、リアは大きな長方形というライトの形状も特徴的でした。
このような斬新なフォルムも相まって、まさに「未来のクルマ」を感じさせる先進的なデザインに仕上がった4500GTに、当時衝撃を受けた人も多かったことでしょう。
搭載するパワーユニットは、初代「セルシオ」用に新設計された4.0リッターV型8気筒エンジンをベースに、チューニングを施したものを採用。
排気量が4.5リッターへと拡大しており、さらに1気筒あたりのバルブ数も4から5へと増加。
最高出力は300馬力にも上る、非常に性能の高いエンジンで、これに6速MTのトランスミッションを組み合わせています。
また、車体を構成するパーツの一部に軽量なCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用し、ボディ全体の軽量化にも成功。その結果、空気抵抗係数Cd値は0.29と優秀な値でした。
そのほかにも、前後の車重バランスが可能な限り50:50に近づくよう、トランスミッションとデフを直結させたトランスアクスルレイアウトを採用。
さらに専用設計のサスペンションを装備するなど、乗り味を高める工夫も盛り込まれていました。
当時、トヨタのテストコースで記者を乗車させての走行会も実施されており、市販化される可能性は非常に高いと目されていました。
しかし、残念ながら期待は外れることになり、現在まで「2000GT」の後継は登場していません。
もし当時4500GTが市販されていたら、その後の高級スポーツカー市場に大きな影響が出たのは間違い無いでしょう。