多くの日本人は、基本的に「バック駐車」をする傾向にありますが、逆に欧米では前向き駐車が主流です。なぜ日本ではバック駐車が普及しているのでしょうか。
■日本人は「バック駐車」がお好き?
多くの日本人が当たり前にやっている「バック駐車」。
とくに指示されていない環境でも日本人は前向き駐車ではなくバック駐車をする傾向にありますが、逆に欧米では「前向き駐車」が主流。
なぜ日本ではバック駐車がこんなにも普及しているのでしょうか。
結論としては、「日本の駐車場は狭いから」と「欧米に比べて治安が良いから」という2つの理由です。
日本は世界的に見ても人口密度が高いうえ、2020年時点での自動車保有台数がアメリカや中国に次ぐ第3位と、クルマの数が多いため、必然的に駐車スペースが限られます。
とくに都市部では、一度前向き駐車をしてしまうと何度も切り返さなければバックで出庫できないほど駐車場が狭いことも多々あり、出庫のしやすさを考慮してバック駐車をするドライバーが多いのです。
実際に、シンガポールや香港といった、日本よりも人口密度の高い地域でもバック駐車が主流。
人口密度と自動車保有台数がバック駐車の利用率に比例するという考えは、かなり有力な説だと言えるでしょう。
また治安の良さについては、非営利組織NICB(全米保険犯罪局)が出している数値で、2021年のアメリカでの自動車盗難件数は93万件以上であり、逆に2021年の日本国内の自動車盗難件数は5182件と、極端な差が見られます。
前向き駐車をすると、出庫時はバックとなるため視界が悪く、安全を確認しながら出る必要があるので、バック駐車の場合と比べて出庫に時間がかかりますが、アメリカでは自動車盗難の犯人が逃げる際に時間がかかるよう、あえて前向き駐車をする習慣がある、という説もあります。
対して、先述したように日本では自動車盗難に遭うケースはそれほど多くなく、わざわざ犯罪防止のために前向き駐車をする必要がない、ということでしょう。
また、アメリカやイギリスでは一度の買い物で大量の商品を買い込む習慣もあり、後方のラゲッジスペースにアクセスしやすいように前向き駐車をする傾向にある、という話も。
ちなみに一般ドライバーとはあまり関係ありませんが、日本の自衛隊や警察といった公的機関では、「出船(でふね)精神」(船の先を港口に向けておき、ただちに出発できるような状態にしておくこと)をもとに、車両は可能な限りバック駐車するように指導されています。
そのような国に住んでいると自然とバック駐車を好むようになる、ということも、もしかしたらあるかもしれません。