日産は2008年開催の「北米国際自動車ショー」にて、次世代の大型ミニバンを提案するコンセプトカー「フォーラム」出展しました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■日産の提案した次世代「7人乗りミニバン」
日産は、2008年に開催された「北米国際自動車ショー」にて、次世代の大型ミニバンを提案する「フォーラム」というコンセプトカーを出展しました。
同車は一体どのような内容のミニバンだったのでしょうか。
フォーラムは、日産が開発した7人乗りの大型ミニバンです。
当時、北米におけるこのクラスのミニバンは「母親のクルマ」であるという認識がありましたが、フォーラムは母親と父親どちらにも似合う「両親のクルマ」として開発。
そのため、前席が両親の、そして後席が子どものスペースとして設計されました。
同車の特徴としては、90度まで開くフロントドアや大開口のスライドドア、Bピラーのない構造によって、乗り降りのしやすさを追求していること。
また、2列目と3列目の様子を運転席から確認できるシートモニターカメラや、ドライバーの声をワンタッチで車内スピーカーから流せるシステムを搭載していることが挙げられます。
エクステリアは、低重心で安定感のあるフォルムに加えて、特殊なスライドドアアームを採用することでボディ側面のスライドドアレールを廃した、スタイリッシュなデザインが目を引きます。
インテリアは、2列目シートが180度回転可能なマルチポジションシートとなっており、窓側に90度向けることで車内からスポーツ観戦を楽しんだり、180度回転させて3列目と向かい合わせのシートポジションにできるなど、自由度の高さと使い勝手に配慮して作られました。
さらに天井にはガラスルーフを採用して開放感を演出しているほか、全体的に本革やアルミ、木目を組み合わせ、上質感のあふれる車内空間を作り上げています。
パワーユニットには、パワフルでありながら経済性と環境性能の高い、クリーンディーゼルエンジンを搭載。
組み合わせるトランスミッションはCVTで、走りと実用性、環境性能すべてを両立させた画期的な7人乗りミニバンでした。
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このフォーラムは、出展から約16年が経過した現在も市販化されていませんが、そのデザインや設計思想などは、後に登場した「エルグランド」の現行モデルや、姉妹車であり北米仕様でもある「クエスト」に活かされているといいます。
一方で、画期的なシートアレンジなど、フォーラムの見どころとなったものの実現していない機能も存在。
安全性や法規などの理由から、市販車への採用が難しかったのだと推察できますが、ユニークな工夫の凝らされた魅力的な提案といえる1台です。