近年普及しているウインカーの機能「ワンタッチウインカー」ですが、一般的なウインカーとなにが違うのでしょうか。また使用するにあたって、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか。
■ワンタッチウインカーを使う時に気を付けることとは?
近年のクルマには「ワンタッチウインカー」という便利な装備が採用されることが増えてきています。
手軽にウインカーが出せる反面、使用方法によっては違反と見なされることがあります。
ワンタッチウインカーとは何か、違反に該当するのはどのような使い方なのか紹介していきます。
ワンタッチウインカーとはウインカーレバーを軽く操作するだけで、3回や5回程度点滅するウインカーです。
点灯回数は車種によって異なり、回数を設定できる車種もあります。
一般的なウインカーと異なるのは、操作するのに軽い力で済むことと、ウインカーを付けたらずっと出しっぱなしになるのではなく数回で止まることです。
ワンタッチウインカーのメリットは、ウインカーの出しっぱなしを防ぐことができる点にあります。
曲がる角度が浅かったり、車線変更の際ではハンドルの動きに対してウインカーが反応せず自動で戻らないことがあります。
そのまま気が付かずウインカーが出しっぱなしになり後方のクルマにとって、ずっとウインカーを出している前方のクルマがどういう動きをしたいのか分からず困惑させてしまい、事故に繋がる可能性もあります。
レバーを1回押すだけでウインカーが複数回点灯し消える「ユーロウインカー」がワンタッチウインカーの元となっており、名前の通り欧州車で採用されたのがきっかけで世界に広まったのち、日本車でも取り入れられるようになりました。
便利なワンタッチウインカーですが、使い方によっては違反となることがあります。
ウインカーについて記載されている道路交通法は「道路交通法第53条」と「道路交通法施行令 第21条」になります。
道路交通法第53条には
「車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。」
とあり、進路を変える時から進路を変え終わるまで合図を継続しなければならず、ワンタッチウインカーでは事足りない可能性が高いです。
さらに一般的なウインカーは間違えて点灯させてしまった場合はすぐに元の位置にレバーを戻せば消せますが、ワンタッチウインカーはクルマによってはウインカーが終わるまで消せないことがあります。
道路交通法第53条の第4項に
「車両の運転者は、第一項又は第二項に規定する行為を終わつたときは、当該合図をやめなければならないものとし、また、これらの規定に規定する合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない。」
と記載があり、すぐに消せないワンタッチウインカーの場合は該当してしまいます。
道路交通法施行令 第21条では曲がる際に合図を行う時期は
「その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき。」、また同一方向に進行しながら進路を左方に変えるとき「その行為をしようとする時の3秒前のとき。」
と記載されており、ワンタッチウインカーでは足りない可能性が高いです。
スムーズに曲がれる場合でも短いかもしれないのに、信号待ちで止まった場合は確実に3回や5回のウインカーでは足りません。
なお、合図不履行違反での反則金は大型車で7000円、普通車・二輪車で6000円で違反点数は1点です。
ただワンタッチウインカー自体はもちろん違法なものではなく、あらゆる車種で純正の機能として付いているので車検でも問題ありません。
ただ使用する際に合図不履行と見なされないか、意識するようにしましょう。
ウインカーはあくまで周りに対して自分がどの方向に向かうのかを示すためのものであり、交通事故を少しでも減らすための大切なものです。
一般的なウインカーとワンタッチウインカー、どちらを使うにせよ大切なのは周りへの思いやりと今自分が出しているウインカーの合図で本当に周りに伝わっているのか、少し踏み込んで考えることです。