2024年6月にデビューしたホンダの主力コンパクトミニバン「フリード」。ターゲットのファミリー層を中心に、人気モデルとなっていますが、もっとも安いベースグレードでも満足できるのでしょうか。
■「最廉価」でも満足度高い! ベーシックな「フリード」の魅力とは
第45回「2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー」にも選出されるなど、評価の高いホンダの最新コンパクトミニバン「フリード」。
もっとも安いグレードは、約250万円(価格は消費税込み、以下同)から設定されていますが、上位グレードと比べてどのような点が異なるのでしょうか。
1.5リッターガソリン車のほか、e:HEV(ハイブリッド)車がラインアップされているフリード。
ガソリン車の車両価格は、250万8000円から308万7700円。e:HEV車は285万7800円から343万7500円です。
このなかで、最安グレードは「AIR」(3列・6人乗りのガソリン・2WD)というグレードで、車両本体価格は250万8000円です。
最廉価グレードということで、269万円の上位グレード「AIR EX」(同上)と、どう違うのかは気になるところ。
真っ先に気になる安全装備・先進運転支援機能に関しては、ベースグレードのAIRにも「ホンダセンシング」が標準搭載となります。
渋滞時追従機能付の「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」や「車線維持支援システム(LKAS)」、衝突軽減ブレーキ、誤発信抑制機能、オートハイビーム、パーキングセンサーシステムなど、事故を未然に予防する機能や、快適な移動をもたらす運転支援機能が満載されています。
ただし、走行中の左右後方を走行する車両を検知しウインカー内にアラートを出す「ブラインドスポットインフォメーション」は未装着です。
外観上は、AIR EXが15インチアルミホイールになるのに対し、AIRは15インチスチールホイール+フルホイールキャップという違いのみ。
視界に貢献し、かつ見栄えも良くするデイタイムランニングライト付きのフルLEDヘッドライトや、窓ガラスの「360度スーパーUV・IRカット(遮熱)パッケージ」はAIRでも標準装備なのはうれしいところです。
インテリアでは、両側パワースライドドア、フルオートエアコン、マルチインフォメーションディスプレイなどは標準搭載されます。
ただ運転席&助手席シートヒーター、運転席&助手席シートバックの上部にあるUSBチャージャー、リアクーラーは非装着です。
加飾の面では、エアコンアウトレットなどのシルバー加飾はなく、ステアリングホイールやセレクトレバーも本革巻きではなくウレタン製と割り切られ、運転席&助手席シートバックのシートバックアッパーポケットも非装着ですが、どうしてもないとダメな装備という訳ではありません。
このほか、ドアロックに連動してミラーを自動で畳むオートリトラミラーが非搭載なほか、親水/ヒーテッドドアミラー+フロントドア撥水ガラス+フロントコーナー撥水ガラス+熱線入りフロントウィンドウなどのコンフォートビューパッケージも未設定です。
■ライバル「シエンタ」には約200万円のモデルもあるが……
一方、最大のライバルであるトヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」の最廉価グレード「X」は、203万5200円(7人乗り・ガソリン車・2WD)と、フリード AIRに対し50万近く差があります。
ただ、基本的な先進運転支援機能こそ上位グレードと変わらず標準装備であるものの、シエンタ Xで選べるボディカラーの種類は4色のみで、グリルモールはブラック塗装となり、ターンランプとクリアランスランプはバルブ式に変更されます。
運転席アームレストやディスプレイオーディオは非装着でパワースライドドアは助手席側のみ、マニュアルエアコン&ダイヤル式コントロールになるなど、装備も割り切られています。
その点フリード AIRでは、シエンタと同様に安全装備は全グレードに標準装備したうえで、外観の変化は最低限になるよう抑えられており、需要の高いであろう一部の贅沢装備はきちんと残されています。
削られたアイテムの中でいえば、運転席&助手席シートヒーター、リアクーラー、オートリトラミラーあたりの有無が人によっては気になるところでしょうか。
車両価格を抑えたうえで、所有する満足感は薄まらないようにしっかりと考え抜かれているグレードといえそうです。
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そんななかホンダから、2025年2月6日よりe:HEV車のみ、新たな外装塗料を採用する一部改良を実施するとともに、価格改定を実施するとの発表がありました。e:HEV車各グレードで16万5000円高となります。
材料価格や物流費などの世界的な高騰に伴う変更だといいますが、ガソリン車に関しては価格・機能ともに変更がない点はひと安心といえそうです。