スバルは、「東京オートサロン2025」で世界初公開した「Sシリーズ」の新コンプリートカー「S210」を2025年夏頃に発売する予定です。どのようなモデルなのでしょうか。
■久々に登場した「Sシリーズ」とは?
2025年1月10日から3日間開催された「東京オートサロン2025」は今年も盛り上がりを見せましたが、スバルブースで多くの来場者の注目を集めていたのがSTIのコンプリートカー「S210」のプロトタイプです。
現行「WRX S4」をベースに、ドライバーがより意のままに車両を操りやすくする操作性を実現したモデルで、STI久々の「Sシリーズ」コンプリートカーということで、スバルブースでは人気の1台となっていました。
STIのコンプリートカーであるSシリーズは、2000年に「S201」が登場。その後「インプレッサ」や「レガシィ」をベースにSシリーズが誕生してきました。
しかし、日本市場でのSシリーズは2017年に登場した「WRX STI」ベースの「S208」が最後。長らく日本ではSシリーズが味わえない空白の時間が続いていたのです。
そして今回、日本向けに投入されるS210の開発コンセプトは「ニュルブルクリンク24時間レース直系の2ペダルスポーツセダン」。
世界一過酷なコースといわれるニュルブルクリンクでは、単なる速さだけではなく、ドライバーが安心して運転に集中できて、思った通りの反応をしてくれるクルマが必要となります。
そのような性能をニュルブルクリンク24時間レースで得た知見を活かして、実現したのがS210なのです。
この性能を実現するために、パワートレインやシャシ、ドライブトレインなどクルマ全体でのコントロール性を引き上げているのがS210の大きな特徴と言えます。
2.4リッター水平対向ターボエンジンは275馬力から300馬力へと最大出力が引き上げられていますが、エンジンで注目すべきポイントは他にあると言えます。
それは、スロットル操作に対するリニアなトルクレスポンスを実現しているところでしょう。この実現のために新開発の低背圧パフォーマンスマフラーや専用チューニングのECUなどが採用されています。
このトルクレスポンスを活かすために、スバルパフォーマンストランスミッション(CVT)も進化していて、変速特性をエンジン出力特性に合わせてチューニング。素早い変速レスポンスと高い操縦性を持った駆動特性を実現していて、意のままに操れる扱いやすさを重視したパワートレインとなっています。
フットワーク性能も当然同じコンセプトで開発されていて、ステアリング操作時の応答性を高めるために前後で異なる形状としたSTI製フレキシブルパフォーマンスホイールに、ミシュラン製のハイパフォーマンスタイヤを組み合わせています。
それに加え、専用チューニングの電子制御ダンパーとコイルスプリング、新開発のリアスタビライザーブッシュなどを採用。ブレーキもブレンボ製で専用チューニングの電動ブースターを備えてコントロール性を向上させました。
エクステリアは、スポーツサイドガーニッシュやドライカーボンリアスポイラーなど、整流効果とダウンフォースを発生させる空力パーツを備え、インテリアには高いホールド性を誇るRECARO製のカーボンバックレストシートが採用されています。
ドライバーがリラックスして運転に集中できるからこそ実現できる安定した速さを追求したS210は限定500台で2025年夏に発売される予定。
すぐに完売してしまいそうな魅力的なコンプリートカーとなっており、さらなる詳細情報は2025年春頃に明らかになるとされています。