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1000万円くらい? ランクルよりデカい! 全長5.3m超え日産新「パトロール」 激レア試乗で何が分かった? 日本に来る可能性は? 今こそ「やっちゃえ日産精神」で日本導入を!

くるまのニュース 2025年2月4日 16時10分

2024年秋に日産「パトロール」はフルモデルチェンジし、フレームも含めて車体設計を刷新した新型へシフトして、7世代目となりました。中東で試乗した印象はどうだったのでしょうか。

■新型パトロールは日本で売るのか?

 かつて、日産が販売していたSUV「サファリ」。

 2007年6月をもって日本での販売を終了しましたが、中東やオセアニアなど海外向けは「パトロール」という名称で販売が続いています。

 また北米向では「アルマーダ」としても販売。アルマーダはかつてパトロールとは異なるモデルでしたが、2010年に登場した6世代目のパトロールからは両者が統合されています。

 そんなパトロール(アルマーダ)は日本やってくる可能性は無いのでしょうか。

 2024年秋にはそんなパトロールがフルモデルチェンジし、フレームも含めて車体設計を刷新した新型へシフト。7世代目となりました。

 筆者はさっそく中東へ飛び、試乗してきました。

 実車に触れて感じたのはまずよく比較されるトヨタ「ランドクルーザー300」とのサイズ。

 パトロールはランドクルーザーよりも一回り大きな車体(全長5350mm×全幅2030mm)で、365mm長くて50mmワイドです。

 そして室内に入ると、そのラグジュアリーな仕立てに驚きました。

 インテリアは14.3インチのディスプレイが2つダッシュボードの先進性が印象的で、オフローダーらしい安定感を求めたランドクルーザー300とは方向性の異なるもの。

 そしてハイライトは上質感で、お世辞抜きにランドクルーザー300レベルを凌駕。これはレクサス「LX」の領域でした。

 日産のフラッグシップSUVとしてプレミアム感を際立たせてきていることを実感します。

 エンジンは2タイプを搭載し、ひとつは従来モデルからの継承となる排気量3.8LのV6自然吸気で320ps。

 もうひとつは高性能耐タイプとなる3.5LのV6ツインターボで431ps。ガソリンエンジンながら700Nmという極太トルクを発生するのも驚きです。

 VR35DDTTというこのエンジンはパトロールに搭載するために作られた新設計で、日産としては最後の開発となるピュアエンジン(モーターを組み合わせないエンジン)と噂されるもの。

 そしてVRという型式からピンと来る人もいることでしょう。「スカイライン400R」や「フェアレディZ」に搭載するVR30DDTTとも血縁関係があり、その排気量アップ版と考えればいいでしょう。

 ブロックは新設計ですがボアは86mmと共通で、ストロークを14.2m拡大して排気量を上げています。

 実際にドライブしてみると、怒涛のトルクとパワーによる力強い加速だけでなく、エンジンの精密感が伝わってくるレスポンスや反応の鋭さ、そして高回転の盛り上がりなど官能性能でも魅力的。

 SUV用のユニットとは思えないパフォーマンスで運転する喜びを高めてくれるものでした。

激レアな体験!? 日産「パトロール」に試乗してみた!

 そんな新型パトロールで印象的だったのは、オンロード走行性能の高さ。

 9速ATに後輪駆動ベース電子制御4WDを組み合わせる本物のオフローダーなので悪路走破性が高いのは当然ですが、オンロードでの走りも予想を超えるレベルに仕上げられていたことに驚きました。

 試乗車はエアサスが採用されていたこともあり、まずラダーフレーム車とは思えないほど突き上げがなくて乗り心地が快適。

 そのうえでハンドリングも反応遅れが少なく素直。そしてハイライトは、日本の制限速度を大きく超えるような速度域での安定性が極めて高かったことです。

 超高速領域でまったく不安がないどころか、驚異的な安心感といっていいレベルでした。

 定評のあるオフロード走破性は従来から継承しつつ、オフローダーとは思えないほど優れたオンロードでの超高速巡航性能を持っています。

 そのハイレベルなバランスが新型パトロールのハイライトと言っていいでしょう。

 さて、そんな新型パトロールですが、日本に住む私たちにとって気になるのは「日本でも売る予定があるのか?」ではないでしょうか。

 日産ファンとしては、日本での販売も期待したいわけにはいきません。果たして日本販売の予定や可能性はあるのでしょうか。

■ランクルのライバルとなる「パトロール」日本導入は? 日産の回答は?

砂漠と言えば…ラクダ?

 日産広報部によると「現時点では予定がない」といいます。

 日本では20年弱もサファリを販売しておらず、また2007年に販売を終えた理由が「販売数が少ない」という理由だったことを考えると、新型が登場したとはいえ日本販売のハードルは低くないでしょう。

 しかし「状況次第では日本でも販売できる可能性」もいくつか考えられます。

 まずは、右ハンドルの設定があること。

 メインマーケットとなる中東向けは左ハンドルで、アルマーダとして販売される北米向けも左ハンドルです。

 しかし、パトロールはオーストラリアでの販売も予定されていて、オーストラリアは日本同様に左側通行。

 つまり右ハンドル仕様が存在するのです。右ハンドル仕様が存在するか否かは、日本導入のハードルを左右する重要な要素です。

 ふたつめは、日本で生産していること。

 パトロールやアルマーダはすべての車両が日本にある九州工場で作られ、海外へ向けて輸出されます。

 海外生産車を日本向けに輸入するのはハードルが高いですが、日本生産であれば幾分かは低くなります。

砂漠でも難なく走る日産「パトロール」

 そして3つめは、SUVブームという追い風。

 いま、乗用車市場におけるSUV比率は2007年とは比較にならないほど拡大しています。

 たとえばトヨタでは、日本販売を終えていた「RAV4」を現行型で復活させて人気モデルとなりました。

 さらに、フレームSUVのランドクルーザーもかつてとは比較にならないほどの販売台数となっています。

 同じくフレームSUVのスズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」はデビューから6年以上たつ現在でも長期の納車待ちが発生。

 さらには、5ドア仕様の「ジムニーノマド」は発表後わずか4日で5万台近い受注が入ってオーダーストップに。

 SUVを取り巻く環境はかつてとは大きく変わっているのです。となれば「そろそろパトロールも」とついつい期待したくなるのも当然の成り行きでしょう。

 日産関係者は「もし日本へ導入するとしても、価格は1000万円くらいになってしまうだろう」と言います。

 確かにそのプライスともなれば手が届く人は限られていますが、今の日産に必要なのはファンを作ること。

 現行型GT-R生産終了へのカウントダウンもはじまったいま、日産には“憧れ”となる存在が必要なのではないでしょうか。

 誰もが手が届くモデルではなく、日本へ導入したとしても多くの販売が見込めるわけではない。

 しかし、ブランドイメージ向上のために、そして日産ファンを育てるためにはこういった存在が欠かせないのです。

 こういう時こそ「やっちゃえ日産!」の精神で、チャレンジするべきだと筆者は考えますが、いかがでしょうか。

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