キャンパー厚木は、キャンピングカーイベント「ジャパンキャンピングカーショー(JCCS)2025」に、ちょっと変わり種なキャンピングカーのニューモデル「パティック」を初公開しました。どのようなクルマなのでしょうか。
■2段式なのに「全高2m以下」だから4ナンバーサイズを維持
400台以上のキャンピングカーが集結した国内最大級のイベント「ジャパンキャンピングカーショー(JCCS)2025」。2025年1月31日から2月3日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されました。
そのなかで変わり種なキャンピングカー「パティック」が展示され、来場者の注目を集めていました。どのようなクルマなのでしょうか。
まずは見た目から、失礼ながら「なんじゃこのクルマは!?」と思うのが普通でしょう。
一見、トヨタの商用ライトバン「プロボックス」。いや見直してもプロボックスなのですが、ルーフに大きなFRP製の四角いボックスを搭載しています。
会場の担当者にお話しをうかがうと「全高1980mmなので、ショッピングモールの駐車場に良くある2.1mのバーにも当たりませんし、4ナンバー規格の全高制限に収まるサイズですよ」といいます。
ちなみにベースのプロボックス自体、全長4245mm×全幅1690mm×全高1525mmという4ナンバーサイズ(乗用車なら5ナンバーサイズ)に該当します。
日本国内ありとあらゆる地域でサラリーマンの味方として手足となり、日々働いている車両としておなじみの存在でしょう。
そんなプロボックスに「屋根裏部屋を付けてみたら楽しそうじゃない?」という発想で作られたのがこの「Patic(パティック)」というキャンピングカーです。
製作したのはキャンパー厚木(神奈川県厚木市)。
車名には、PROBOX(プロボックス)+ATTIC(屋根裏)=Patic(パティック)という意味が込められています。
会場で配られたパンフレットには「Patic exciting rooftop space。ルーフ上に広がるワクワク空間。」と書かれていました。
確かに、見るからにワクワクする空間が生まれています。
室内から見上げてみると、運転席・助手席の後ろ側からルーフが切り取られ、ルーフトップが載せられているのが分かります。
就寝スペースとしても使えるよう、折りたたみシングルベッドフレーム+マット、換気用の後部アクリル二重窓が装備されています。
またラゲッジ部分でも就寝できるように、ラゲッジカーペットの下に板を仕込み、リヤシートを倒した際の段差が埋まるような工夫もされています。
キャンプ用のエアマットなどを敷けばより快適な空間になり、ラゲッジで2名、ルーフで1名の就寝場所が確保できるそうです。
ルーフ部は、80kg程度のスタッフが乗ってもびくともしなかったといいますから、相当の重さが載っても平気でしょう。
■ルーフトップ部は「宣伝用パネル」としても活用できそう!?
車中泊を一度でも経験した人ならわかると思いますが、ラゲッジにいざ就寝するとなった場合、それまで積んでいた荷物の移動先に困るシーンがあります。
しかしパティックならこの広大なルーフトップがあることで、(2名以下の就寝なら)何も気にせずルーフトップに放り込むこともできます。
キャンプや車中泊の旅は何かと荷物が多くなりがちですので、何も気にせず収納できるスペースがあるということはありがたいことです。
ルーフを大胆にカットすることで、クルマの剛性は大丈夫なのかと心配になりましたが、担当者は次のように話します。
「ルーフトップの剛性はかなりあって、ルーフ全体を取り囲むように作ってあるので、剛性に関しては気になりません。
実際この状態で走っていますが、何も問題を感じたこともありませんし、高速道路を走ってもびくともしません。プロボックスが本来持つ安定性などもスポイルしていません。
そして燃費も大きく下がらないということにもびっくりしました」
剛性の確保はもちろん、燃費にも大きな差が無いとなれば何も問題はなさそうです。
「問題があるとすれば今が無機質なカラーということでしょうか。
流行りのアースカラーで塗ってあったり、前後バンパーをチッピング塗装したり、すこし車高を上げてもう少し大きいブロックタイヤを装着すればアウトドアでも似合うと思います」
現状のノーマル然としたスタイルから、よりアウトドア感を足せば、もっと良い雰囲気になるかもしれません。
「ルーフに大きなスペースがあるので、本来の使用目的に合わせると、コマーシャルスペースとしても有効活用できます。
面白い発想としては、『選挙カー』としても使えそうだなと思えました」
使い方は貴方次第という売り文句通り、使う方によっていろいろ変化できるのもパティックの良さかもしれません。
キャンピングカーらしいオプションとして用意されているのが、リアゲートを内側から開けられるようにした室内解除レバーと、ちょっとした荷物を引っかけられるバーだけ。
確かにワンボックスの商用バンは内側からリアゲートの開閉ができますが、プロボックスではできません。
そのための室内側から解除できるレバーは重宝しそうです。
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パティックの車両価格(消費税込み)は、247万1300円から。
組み合わされるパワートレインは、ベース車同様に1.3リッターもしくは1.5リッターのガソリンエンジン、1.5リッターガソリンエンジン+モーターを組み合わせた「ハイブリッド」の3種類が選択できます。
トランスミッションミッションは全てCVT(ハイブリッドは電気式無段変速機)となり、2WD(FF)を基本に1.5リッターガソリンエンジン車は4WDも設定されています。
なおパティックは8ナンバーのキャンピングカー登録ではなく、ベース車同様の4ナンバー登録となります。
どんな風にも使える「素材」として考えれば、これほど面白いベースはありません。あなただったらどのような使い方を考えますか。