Infoseek 楽天

バスやトラックへの急速充電は「イッキに」ではなく「順番に」がポイント! ニチコンが新たに提案する「サイクリックマルチ充電器」発表会

くるまのニュース 2025年2月4日 18時30分

EV用充電器などを手掛けるニチコンが、運輸事業者向けに商用EVを複数台スマートに急速充電できる「サイクリックマルチ充電器」を発表しました。乗用車だけでなく商用車でも電動化が進んでいますが、急速充電器の設置において商用車の事業者向けにはまた違った課題があり、それに対応した製品が求められているといいます。

■キーワードは「輪番=サイクリック」

 EV用の充電器や家庭用蓄電システムなどを手掛けるニチコン(京都市中京区)は2025年2月4日、京都経済センター(同市下京区)において「サイクリックマルチ充電器」の発表会を行いました。

 ニチコンは2011年からEV/PHV用の急速充電器を生産販売してきましたが、今回発表された「サイクリックマルチ充電器」は運輸事業者をターゲットとした商用向けの新しいコンセプトの急速充電器となっています。

 商用のEVは大きく重い車体で航続距離を確保するため、乗用車型のEVよりも大きな容量を持つバッテリーを搭載しています。

 それらを毎日複数台充電するためには、充電能力や管理、電気料金や設置スペースなどさまざまな課題があり、商用車を多く所有する事業者にとって、EV導入にあたっての課題となっていました。

 今回ニチコンが発表した新製品は、ひとつの電源盤からスイッチャーボックスを介して「輪番(サイクリック)」で6台の車両へ充電する方式をとっているのが最大の特長です。

 従来は、複数台のEVを同時に充電する場合、それぞれを合計した最大出力に応じた大容量の受電設備が必要であったり、ピーク電力が増大すると電気基本料金の上昇につながったりといった課題がありました。

 しかし、今回の新製品においては1口で最大出力90kWの充電を最大6台の車両へ、同時ではなく各車両へ15分ごとに順番に行えるようになっており、充電器の能力を最大限に生かしながら効率よく充電できるシステム構成となっています。

 これにより、最大充電電力が一定となるため、設備費用や電気料金を抑制することが可能になるそうです。

■デザインにもこだわり! 社内にデザイン部署を新設

 また電源盤、スイッチャーボックス、ディスペンサー(コネクタ)がそれぞれセパレート構造となっており、設置レイアウトの自由度が高く、複数台のEVを所有する事業者にとっても車両駐車スペースの有効活用がしやすいというのもメリットとして挙げられます。

「サイクリック充電」の説明図

 さらに、複数のEVを同時に急速充電すると、特に夜間などは動作音に伴う騒音対策の問題も課題になるといいます。その点においてもサイクリックマルチ充電器は、電源盤が別途設置でき、一気に同時ではなく各輪番で充電をおこなうことで騒音自体少なくなるというのも、事業者側としてはうれしいポイントです。

 なお、各車両の充電管理については、PCやスマートフォンを利用して充電器から離れた場所からでも、充電状態の確認や設定変更が可能となっています。

 充電器についてコネクタの取り回しのしやすさに工夫が施されているだけでなく、見た目やデザイン性についてもこだわりをもって開発されているそうです。

 今回、ニチコンとして初めてデザイン部署を新設して、外部からのキャリア採用でデザイナーが入社。デザイン面の強化によって商品競争力を向上させたというエピソードも発表会では明かされました。

 ニチコンの「サイクリックマルチ充電器」は2025年7月の発売を予定しており、年間50セットを販売目標としているとのことです。

 また、同製品は東京ビッグサイト(東京都江東区)で2025年2月19日から開催される「SMART GRID EXPO 春 第17回 国際スマートグリッド展」で展示される予定となっています。

この記事の関連ニュース