トヨタの人気ミニバン「シエンタ」には、かつて海外で「SUV仕様」として独自の進化を遂げた派生モデルが存在していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■アウトドアテイストが魅力の「シエンタ」とは?
初代モデルが登場した2003年以降、トヨタ「シエンタ」はそのユニークなデザインと抜群の利便性で人気を集め続けてきました。
実際に、日本自動車販売協会が発表した2024年の「新車統計データ 乗用車ブランド通称名別順位」では11万1090台を記録し、「カローラ」「ヤリス」に次ぐ3番目の販売台数を誇っています。
そんなシエンタには、かつて海外で「SUV仕様」として独自の進化を遂げた派生モデルが存在していました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
シエンタはコンパクトなサイズと多機能性を兼ね備えたミニバンとして、2003年に初代モデルが登場しました。
その後、2015年には2代目、2022年には3代目がデビューし現在に至ります。
その歴史のなかで、2020年12月に台湾のトヨタ総代理店「和泰汽車」から発表されたのが、シエンタをSUVスタイルへと昇華させた「シエンタクロスオーバー」です。
ベースとなっているのは2代目のシエンタで、ボディサイズは全長4350mm×全幅1695mm×全高1700mm、ホイールベース2750mmと、通常のシエンタ(台湾仕様:全長4260mm×全幅1695mm×全高1675mm、ホイールベース2750mm)に対して90mm長く、25mm背が高くなっています。
また、足まわりには専用サスペンションが採用され、通常モデルの最低地上高が145mm(4WD)なのに対して、シエンタクロスオーバーは165mmと、悪路走破性の向上が図られているのも違いの1つです。
外観も通常モデルと大きく異なり、前後バンパーにはスキッドプレート風の装飾が施され、ルーフレールが装備されるなど、アウトドアを意識したデザインが特徴です。
後席スライドドアには「CROSS」のロゴが刻まれ、SUVらしい個性を強調しています。
内装はブラウンを基調にシックな雰囲気を演出し、大人向けの落ち着いた空間を提供しています。
シートレイアウトは2列シート5人乗り仕様と3列シート7人乗り仕様が設定されていました。
搭載されるエンジンは最大出力140ps・最大トルク17.5kgmの1.8リッター直列4気筒ガソリンエンジンのみ。
そして駆動方式は、クロスオーバーだからといって4WDではなく、通常のガソリンモデルの2代目シエンタと同様にFFを採用していました。
なお、現在は3代目シエンタの登場により生産終了となっているものの、当時の価格は74万9000台湾ドル(約349万4900円)から82万9000台湾ドル(約386万8000円)で販売されていました。