カーエアコンの「A/Cボタン」は夏場の冷房操作に必要な機能ですが、冬場にはほとんど必要ないとも言われています。なぜ冬場はA/CボタンをOFFにしておくべきなのでしょうか。逆に、ONにしておくことで得られるメリットはあるのでしょうか。
■「A/Cボタン」の役割とは?
カーエアコンの「A/Cボタン」は、車内の空調を管理する重要な機能で、このボタンを押すとエアコンのコンプレッサーが作動する仕組みになっています。
コンプレッサーはエンジンの動力を利用して冷媒を圧縮し、冷気を発生。この冷気がファンで送られて、冷たい風が出てくるのです。
このA/Cボタンが最も活躍するのは、やはり夏場ですが、実は冷房機能が使えるだけではありません。
実はエアコンの除湿機能も同時に働いており、湿気を取り除くため、梅雨の時期や雨の日に車内のガラスが曇るのを防ぐ効果もあります。
そのため夏場はA/Cボタンが必要不可欠ですが、その一方で注意すべき点があります。それは、コンプレッサーがエンジンの動力を利用するため、燃費に影響を与えることです。
A/CボタンをONにしている間はエンジンにそれなりの負荷がかかるため、燃料消費が増え、燃費が1km/L程度から、軽自動車などでは数km/Lほど落ちてしまう傾向があるのです。
また、同時にパワーも奪われるため、加速などが若干鈍く感じる場合もあります。
そんなA/Cボタンですが、冬場にONにする必要はあまりありません。
なぜなら冬場は暖房を使いますが、クルマの暖房は冷房とは違い、エアコンのコンプレッサーではなく、エンジンの廃熱を利用して暖かい空気を送り込む仕組みになっているからです。
そのため、A/CボタンをOFFにしていてもヒーターは正常に機能するのです。
実際、ヒーターだけを使うなら、燃費などを気にしてA/CボタンをOFFにし運転しているドライバーいるようです。
しかし、冬場でもA/CボタンをONにするべき場面はいくつかあります。その代表的な例が、窓ガラスの曇り防止です。
冬場は外気温と車内の温度差が大きくなりやすく、窓ガラスが結露して視界を妨げることがあります。
A/CボタンをONにすることで、先述の通りエアコンの除湿機能が働くため、車内の湿気を効率よく取り除くことができます。
ここでデフロスター(フロントガラス専用の送風モード)機能を併用すれば、短時間で曇りを解消することが可能です。
この機能を知らずに、曇りをタオルで拭いたり、換気を強めたりといった手間をかけている人もいるかもしれませんが、A/Cボタンを適切に活用することで、簡単に解決できます。
また、冬場に車内の湿気を抑えることは、曇り防止だけでなく、カビや悪臭の発生を防ぐという点でも効果的です。
例えば、雨や雪で濡れた衣服や靴によって車内の湿度が上がり、エアコン吹き出し口の内部などにカビが発生することもあります。そこでA/Cボタンの除湿機能を使うと、車内環境を清潔に保つことができます。
とはいえ、冬場にA/Cボタンを使う頻度が増えると、やはり燃費への影響が気になるところ。
特に、長時間運転や頻繁にデフロスターを使用する場合、燃料消費が増える可能性があるため、必要な場面だけONにするなど、使用頻度を調整するといいでしょう。