2025年2月3日に鈴鹿市の会社員の男が逮捕されました。これは、鈴鹿市肥田町の国道23号において、自分のクルマの後方を走っていた救急車に対し急な進路変更や停止を繰り返したほか、突然クルマをバックさせて救急車に急接近するなどして救急隊員の職務を妨げたことからです。では、もし緊急自動車の通行を妨害した場合、どのような法令に抵触するのでしょうか。
■緊急自動車の通行を妨げると、どんな違反になる?
三重県警鈴鹿警察署は2025年2月3日、緊急走行をしていた救急車に「あおり運転」をおこなったとして、鈴鹿市の会社員の男を道路交通法違反(妨害運転)と公務執行妨害の疑いで逮捕しました。
では、もし緊急自動車の通行を妨害した場合、どのような法令に抵触するのでしょうか。
この会社員の男は2024年11月27日、鈴鹿市肥田町の国道23号において、自分のクルマの後方を走っていた救急車に対し急な進路変更や停止を繰り返したほか、突然クルマをバックさせて救急車に急接近するなどして救急隊員の職務を妨げたとみられています。
救急車のドライブレコーダーの記録などによると、隊員は「やめてください」と何度も呼びかけていましたが、男は約2分間にわたってあおり運転を続けました。
また当時救急車は患者を搬送しており、男の妨害によって病院への到着が2分ほど遅れましたが、患者の容体に影響はなかったとのことです。
男は警察の調べに対し、「何度かクルマを妨害したことがあるので、今回のことかは分からない」などと供述し、容疑を否認しています。
なお、他の車両の通行を妨害するために車間距離を詰める、執拗にクラクションを鳴らす、追越しで急に割り込むなどの行為をした場合も、当然あおり運転に当たります。
仮にあおり運転によって「交通の危険」を生じさせるおそれがあった場合は、罰則として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるほか、違反点数25点が累積しドライバーは免許取消し処分(欠格期間2年)を受けることになります。
さらに、あおり運転によって交通事故が起きるなど「著しい交通の危険」が生じた場合、ドライバーに5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることに加え、違反点数35点で免許取消し処分(欠格期間3年)が下されます。
今回の事案に対してインターネット上では「緊急自動車をあおるとは一体どんな神経をしているんだ?」、「搬送が遅れて患者が亡くなったら容疑者のしたことは殺人と同じ。悪質極まりない」など、男の運転行為を批判する声が多く寄せられています。
加えて、「罰金の引き上げなど、あおり運転の罰則をさらに強化すべき」、「免許取消しは欠格期間を設けず、永久に免許取消しでいいと思う」などの意見も聞かれました。
■免許取消し処分を受けた後はどうなる? そもそもの緊急自動車に遭遇したらどうする?
あおり運転によって免許取消し処分を受けた後は、免許をしばらく再取得できない「欠格期間」があります。
しかし、行政処分前歴のないドライバーであれば2~3年で免許が再取得できるようになるため、この点に不満を抱いている人も少なくないといえるでしょう。
そもそも、緊急自動車が接近してきた場合にドライバーがとるべき行動は道路交通法第40条に規定されており、交差点やその付近にいるときは交差点を避け、原則として道路の左側に寄って一時停止しなければいけません。
また、それ以外の場所において緊急自動車が近づいてきた場合は、車両は道路の左側に寄って進路を譲らなければならないと決まっています。
これらの規定に従わず緊急自動車の進行を妨げると「緊急車妨害等違反」に該当し、違反点数1点、普通車で反則金6000円が科される可能性もあります。
そのほか道路交通法第75条の6 第2項においては、緊急自動車が高速道路の本線車道に入ろうとしているときや本線車道から出ようとしているときは、緊急自動車の通行を妨げてはならないと規定しています。
そのため、高速道路において緊急自動車の出入りを妨げると「本線車道緊急車妨害違反」に当たり、違反点数1点のほか普通車で反則金6000円の納付を求められる可能性も考えられます。
運転中にはたびたび緊急自動車に遭遇する場面があることから、緊急自動車の進行を妨げないように、改めて対応方法を確認しておくことが大切です。
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大音量で音楽やラジオなどを聞きながら運転をしていると、緊急自動車の接近に気付かない場合があり大変危険です。
適切な音量設定を心がけるほか、運転中は周囲の確認をしっかりとおこないましょう。