トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」が改良となり、アルファードにエントリーグレード「X」が追加。どのような特徴があるのでしょうか。また、リセールバリューは期待できるのでしょうか。
■これは「買い」なのか? リセールはちょい期待薄
フラッグシップミニバンとして、いまやライバル不在の大人気車種となっているトヨタの「アルファード/ヴェルファイア」。現行モデルも2023年6月に登場して以来、高い人気を維持し続けています。
そんなアルファード/ヴェルファイアにプラグインハイブリッドモデルが追加されることが2024年末に正式に発表されましたが、そのタイミングでアルファードにエントリーグレードとなる「X」が新規設定されました。
このXグレードは510万円からと、アルファードの中では最安値のグレードとなっていますが、果たしてお買い得といえるのでしょうか。
まず一つ上のグレードである「Z」との差異ですが、エクステリアではタイヤホイールのサイズが17インチとなり、ヘッドライトにLEDシーケンシャルターンランプやLEDコーナリングランプが備わらなくなるというのが大きなところ。
ただメインのヘッドランプは3眼LEDのままで、LEDクリアランスランプも備わるので、ぱっと見は大きな違いがなく、そこまで機能的にマイナスとはいえないかもしれません。
続いてインテリアですが、ステアリングは本革巻のままとなりますが、インパネやドアトリムの木目調や合皮の加飾が省略。
ファブリック仕様のシンプルなものとなるのが主な違いで、こちらも見た目の豪華さはともかく、機能的にはなんら変わりのないものとなっています。
そして最も大きな違いがセカンドシートです。
Zでは左右独立のエグゼクティブパワーシートが備わるのに対し、Xではベンチタイプの6:4分割チップアップシートとなるという違いがあります。
ただ、セカンドシートがベンチシートとなったことで、2列目に3人座ることができ、最大乗車定員が唯一の8人となっているのもXの特徴。
2列目を広く使いたい子供連れのファミリーにとっては、大きくて動かしづらいエグゼクティブパワーシートよりも使い勝手がいい場面もあるでしょう。
そのほかでは標準装備となるディスプレイオーディオの画面サイズが、Zでは14インチと大型なのに対して、Xでは9.8インチとなり、オプションでも画面を大型化する術が現在のところはない、という点はネックと感じる人はいるかもしれません。
とはいえ、クルマとしての本質の部分では、実は他のグレードと遜色ないものとなっています。
例えば、レーダークルーズコントロールなどを含めた先進運転支援「トヨタ セーフティ センス」をはじめ、両側パワースライドドアや3ゾーンのエアコン調整など、必要な機能はそろっています。
さらに、先代まで8人乗りが設定されていたことから、現行型でもそれを求めていた人にとっては待望のグレード追加ということになるでしょう。
なおエントリーグレードということで、それまで最廉価グレード扱いとなっていたZのガソリンモデル(555万円)と比較されがちですが、今回追加となったXグレードは2.5リッターのガソリンモデルはなく、2.5リッターハイブリッドモデルのみです。
実際の比較対象はZのハイブリッドモデル(635万円)ということになり、上記の装備差で125万円も安いということになるため、装備差の問題さえクリアになればかなり「買い得感の高いグレード」と言えるのではないでしょうか。
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ただし1点だけ注意点があります。それがリセールバリューです。
最終的に手放すとなったときは、どのようなクルマであっても上級グレードが相対的に人気となりがちであるため、装備の少なく、中古市場で買い得感の薄いエントリーグレードは、やや不利になる可能性はありそうです。
しかしもともとアルファード自体が人気車であるため、そこまで極端な低査定になる可能性は低そうではあります。