群馬県と長野県を直結する新たな高規格道路「上信自動車道」の整備が、かなり進んできています。一体どのような計画で、どこまで進んでいるのでしょうか。
■上信越道でカバーしていない長野原・草津・吾妻エリアに誕生
群馬県と長野県を直結する新たな高規格道路「上信自動車道」の整備が、かなり進んできています。
一体どのような計画で、どこまで進んでいるのでしょうか。
上信道は、関越道「渋川伊香保IC」から分岐し、中之条町から長野原町を経て、嬬恋村までをつなぎます。全体計画では、嬬恋からさらに鳥居峠を抜けて長野県へ入り、上田市で上信越道へ直結することになっています。
国道353号・国道145号・国道406号のバイパスとなる存在で、一部で4車線整備、それ以外は2車線道路の計画です。
並行してJR吾妻線が走っています。渋川~長野原草津口が1945年に開通し、1971年には大前まで最終延伸して現在に至ります。
奥に広大な吾妻エリアですが、もっとも近い関越道まで数十kmも生活道路を走る必要があり、物流面や緊急輸送に支障をきたしています。
またこのエリアは首都圏有数の観光地、草津温泉を抱えています。2023年度には年間観光客数が未曾有の「370万人」に達していますが、関越道からの道路アクセスは長らく貧弱なままでした。
そこで、生活道路を脱却し、信号待ちの無いダイレクトアクセスを実現するのが上信道です。
群馬県内だけで約70kmに達する壮大な計画ですが、気づけばほぼ全線が事業化し、2029年には嬬恋村の入口まで全通する見通しとなっています。
具体的な整備状況は以下のとおり。
【2025年度 完成予定】渋川西バイパス(5km)渋川伊香保IC~金井IC ※信号あり
【開通済み】金井バイパス・川島バイパス・祖母島~箱島バイパス(7km) 金井IC~箱島IC
【2029年度 完成予定】吾妻東バイパス(13km) 箱島IC~厚田IC
現場では、すでに橋脚がニョキニョキと立ち並んできています。
【開通済み】吾妻西バイパス・八ッ場バイパス(16km)※一部暫定開通、一部信号あり
【2029年度 完成予定】長野原嬬恋バイパス(8km)
2024年時点では、用地調査の段階となっています。
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このように、気づけば関越道から嬬恋まで、ほぼ全通へ大詰めとなっています。
いっぽう、最終形である「上田直結」までの約31kmについては、調査区間のままとなっています。
とはいえ長野県は2023年の「上田地域広域連合広域計画」で「2027年までに整備区間となる」方針で要望を続けています。まずは計画段階評価によって概略ルートを決定していくこととなります。
JR吾妻線も、計画では上田方面へつなげることになっていましたが、大前から先へ着工されることはありませんでした。
鉄道が果たせなかった交通ネットワークの夢は、高規格道路「上信自動車道」に託されています。果たして大きな進展を見せるのはいつなのか、今後の動向に注目です。