雪が降る中でクルマを運転した後に、ぜひやっておきたいのが「洗車」です。クルマのコンディション維持するために、どこを重点的に洗い、どうケアすべきでしょうか。
■雪国で欠かせない「融雪剤」がクルマにとって大敵なワケとは?
強い寒波の影響で、記録的な大雪になっている地域があります。
そんな雪道を走行できるのもクルマの便利なところですが、雪道を走行後にそのまま放置すると、クルマが傷んでしまうと言われています。
そして、クルマが傷まないようにする方法としてお勧めなのが「洗車」です。
雪国での安全な走行に欠かせない「融雪剤」がクルマを傷める原因のひとつとされており、一刻も早く洗い流すことが推奨されています。
では、雪道を走行後の洗車では、どこを重点的に洗うべきなのでしょうか。
まず、雪の多い地域では安全な走行のために除雪作業が必要になります。高速道路も雪が降り積もってしまうと事故のリスクも飛躍的に高まることから、「雪を積もらせない」「凍結させないこと」が重要になります。
ここで主に使用されるのが融雪剤です。融雪剤の主成分は「塩化ナトリウム」や「塩化マグネシウム」「塩化カルシウム」などの「塩」。
雨は0度で以下になると雪となったり凍結がはじまりますが、この水分に塩分を含ませると「0度以下になっても凍りにくい」という「凝固点降下」と呼ばれる化学反応が起き、これを利用して、道路上の水分が凍結しはじめる温度を下げることで積雪や凍結を防ぐ、または緩和する役割を担っています。
一方で、この塩分がクルマの鉄製品に悪影響を与えるのも事実。塗装面を傷め、さらに未塗装な部分の金属部品に至っては、放置すると酸化しサビが発生しやすくなってしまうのです。
コーティング専門店スタッフのYさんに聞いてみました。
「クルマのボディの多くはフレームも含め、主に鉄でできています。ボディなどは塗装によって表面に膜が形成され、ボディを空気に触れさせない、酸化防止の役割も担っています。
しかし融雪剤に含まれるマグネシウムやカルシウムなどがミネラルとしてボディ表面に残留してシミになったり塗装の劣化を早めてしまったり、シャシやサスペンション、パイプ類など金属パーツにサビを発生させたり腐食させてしまうんです。
なので、できるだけ早くクルマを傷める融雪剤の残留物を洗い流す必要があります」
冬の洗車は、特に雪道の走行後は、見えにくい下回りや足回りを重点的に洗浄するのが重要で、そのためにもある程度の水圧が欲しいとYさんは言います。
「高圧洗浄機などを使いたいところですが、一般的なホースの水圧で流す場合は1カ所からだけでなく、洗い残しがないように四方から洗うのがお勧めです。
特にホイールハウスやマフラー、下回りなどを重点的に洗い流すイメージで水洗いしてください」(コーティング専門店スタッフのYさん)
また普段は手洗いで洗車をしているという人も、雪道走行後はあえてガソリンスタンドなどの「下回り洗浄モード」が付いている洗車機を使用するのもいいでしょう。
とにかくボディや下回りなどに融雪剤を含む残留物をできるだけ早めに取り除くことが、コンディションを維持するうえで重要になるのだそうです。
雪道を走行したあと、すぐに洗車をした方がいいのはもちろんなのですが、どれくらいの期間であれば先延ばし可能なのでしょうか。
雪道走行後の洗車を数週間先延ばしにしてしまうと、金属部分が腐食しはじめることがあり、当日は難しいにしても、1週間以内に水洗いだけでもしておいたほうがいいとYさんはいいます。
また、洗車後は改めてボディをコーティング剤などで保護することも忘れないでほしいとのことです。
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雪道を走るときは、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなど、雪や凍結への対策も重要ですが、走行後のケアも大切です。
クルマのコンディション維持のためにも、雪道走行後は洗車することを忘れずに行いましょう。