タイのトヨタで生産されているコンパクトセダン「ヤリス エイティブ」が現地で人気です。かつて国内でも販売されていたセダン版「ヴィッツ」の後継モデルですが、どのような魅力があるのでしょうか。
■アジアでは「コンパクトセダン」が大人気!
タイのトヨタ(トヨタ・モーター・タイランド)で生産され、アジア圏で販売されている「YARIS ATIV(ヤリス エイティブ)」は、かつて日本でも販売されていた「ヴィッツ」セダン版ともいうべき「ベルタ」や「プラッツ」の後継モデルに当たります。
コンパクトセダンが絶滅状態の日本市場を尻目に、コンパクトセダンは、タイだけでなくアジア圏で人気が高いといいます。
一体どのような魅力があるのでしょうか。
新日国家であるタイは、古くから日本企業が進出していたこともあって、走行するクルマの7割は日本メーカーが占めています。しかも右ハンドル左側通行と日本との共通点も多く、現地で日本車は身近な存在となっているようです。
そんなアジア諸国向けにトヨタがラインナップするのが、コンパクトセダンのヤリス エイティブです。
今や日本市場ではセダンは主流ではなくなってしまいましたが、ハッチバックにはない独立した「トランク」やセダン特有のフォーマル感も捨てがたい魅力のはず。まずはどんなクルマなのか、気になるところです。
ヤリス エイティブのボディサイズは、全長4425mm×全幅1740mm×全高1480mm、ホイールベース2620mm。
クーペ風のコンパクトセダンですが、日本で販売される「カローラ(セダン)」の全長4495 mm×全幅1745mm×全高1435mmより少し小さい程度となっています。
パワートレインは最高出力94馬力の1.2リッターガソリンエンジンとCVTという組み合わせ。気になる現地価格ですが、54万9000バーツ~69万9000バーツ(日本円で約255万円~約325万円)と、想像以上に高額です。
ちなみにタイでは生産が国内でも、パーツなどにも輸入関税や物品税がかかるため、高額になりがち。
さらにタイの平均年収は32万8244バーツ(約153万円)と発表されているので、いかにクルマの価値が高いかがわかるでしょう。
このヤリス エイティブ最大の特徴がエクステリアです。大開口のロアグリルを採用したフロントマスクは、まるで小さな「カムリ」。
タイでもカムリは販売されており、現地価格は145万5000バーツ(約676万円!)と、プレミアムセダンとしてあこがれの的となっており、そんなカムリの小型版とも言えるヤリス エイティブは意図的にデザインを似せた可能性もあります。
さらにシーケンシャルウインカーやLEDヘッドライト、インテリアにも9インチディスプレイを搭載するなど、全体的に高級感のある仕上がり。スポーティに仕上げた「NIGHT SHADE」なる特別仕様車も登場しています。
ちなみに、このヤリス エイティブの開発はダイハツが担当しており、プラットフォームもダイハツの「DNGA-B」を採用しました。
なぜコンパクトセダンの需要が高いのかを、10年以上のタイに住んでいる日本人のY氏(60代男性)に聞いてみました。
「タイの人々は日本人より見栄っ張りな人が多く、自身の収入以上に短絡的にモノを購入する傾向にあります。
もちろん税金の安いトラックなども人気はありますが、小さくても高級感を感じやすいコンパクトセダンの需要は昔から高かったです」
最近では中国製のEVが急増しているとのことですが、それでも人と荷物を十分に乗せられ、狭い道でも走行しやすく、ボディサイズ以上に豪華な雰囲気を感じられるコンパクトセダンの人気は高いのだそうです。
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SUVやミニバンばかりになった日本市場ですが、今でも先代の「カローラアクシオ」が併売されるなど、コンパクトセダンの需要は一定数あります。
コンパクトセダンは使い勝手にも優れているのが魅力です。改めてその実力をチェックしてみるのもよさそうです。