トヨタはこれまでも、クルマの新たな可能性を提案する様々なモデルを発表してきましたが、その中でも個性的だった1台が「Hi-CT」です。
■トヨタが斬新すぎる「ゴリラ顔」採用!
トヨタは2007年開催の「第40回 東京モーターショー」で、クルマの新たな可能性を提案するモデルを多数出展しました。
その中でも特に個性が光る1台が、次世代都市型ヴィークルとして提案された「Hi-CT」です。
Hi-CTはプラグインハイブリッドシステムを搭載したコンセプトカーで、トヨタは同車の開発テーマについて「クルマの新たなカッコよさ・楽しみ方を追求し、従来のクルマの概念とは異なる新しいフォルムを創造」と説明。
“従来のクルマの概念とは異なる新しいフォルム”と謳っているように、Hi-CTは極めて個性的なボディ形状をしていました。
ボディサイズも異例で、全長は3330mmと軽自動車規格よりも短いにも関わらず、全高は1780mmとなっており、これは「エスティマ」とほぼ同サイズ。
そのイメージを率直な印象で例えるなら、コンパクトカー「bB」の前後を切り詰めて、さらに縦に引き伸ばしたようなフォルムです。
超ショートノーズのフロントは、まるで「トレーラーヘッド」のように切り立っており、これは「ゴリラの顔」がモチーフとのこと。
それを踏まえて改めてフロントを見直すと、中央に配したトヨタエンブレムが鼻に見えるような、確かにどことなくゴリラを感じられる独特のデザインでした。
ちなみにHi-CTという車名は、「Hi ride City Truck」の各頭文字を取ったものです。
そんなHi-CTは、エクステリアだけでなく、インテリアもユニークなデザインを採用。
まず運転席に回ると、ホワイトで統一されたインパネには、まるで飛行機の操縦桿のようなスクエアタイプのステアリングが取り付けられており、その横には携帯電話が取り付けられるホルダーを標準装備します。
またインパネ前部のディスプレイには、運転にも役立つ車両情報が表示される仕組みです。
シートレイアウトはフロント2席、リア2席の4人乗り。
電池は床下に収納されているので、全長は短いものの室内空間を広く確保することに成功しています。
またラゲッジスペースはリアに用意され、外部からのみアクセスが可能です。
パワーユニットは、先述のようにガソリンと電気を使い分けて走行するプラグインハイブリッド式となっており、1.5リッターエンジンを搭載して前輪を駆動します(FF)。
そのほか、AC100Vのアクセサリーコンセントを備えており、アウトドアや非常時に電気を取り出して利用できるなど、利便性にも期待できました。
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このように、非常にユニークな提案とデザインだったHi-CTですが、やはり個性的すぎたのか市販はされることはありませんでした。
かつてホンダが「不夜城」という、少し似た印象のコンセプトカーを発表していましたが、こちらも現在まで市販化は果たされず。
今後また同じような、全長が短く背の高いハイトールタイプのユニークなクルマが提案されるのが、2025年10月に開催の「ジャパンモビリティショー2025」にも注目です。