関東~中部の大動脈となる「新東名高速道路」ですが、まだ神奈川~静岡がつながっていません。この未開通区間は、一体いつになったら開通するのでしょうか。
■最後の未開通区間 現状は
関東~中部の大動脈となる「新東名高速道路」ですが、まだ神奈川~静岡がつながっていません。
この未開通区間は、一体いつになったら開通するのでしょうか。
新東名は、圏央道と接続する「海老名南JCT」を起点に、東名と並行しながら、愛知県の「豊田東JCT」で伊勢湾岸道に接続する、総延長約250kmの高速道路です。
2012年に最初の区間「御殿場JCT~浜松いなさJCT」が一気に開通しました。4年後の2016年に豊田東JCTまでが開通。さらに神奈川県内でも、2018年に海老名南JCT~厚木南ICを皮切りに、2019年に伊勢原JCT、2020年に伊勢原大山IC、2022年に新秦野ICまで順次開通しています。
最後の最後まで残ったのが、神奈川県と静岡県の県境部を抜ける「新秦野IC~新御殿場IC」の約25kmです。
ここさえ開通すれば、新東名は悲願の全通となります。
この新秦野~新御殿場が開通してくれないと、中部・関西方面に行くためには、首都圏から御殿場まで結局東名で行くしかありません。
海老名南JCT~伊勢原JCTは「東名の抜け道」として重宝していますが、その先の伊勢原JCT~新秦野ICは長距離ネットワークの一部ではなくただの盲腸線なので、ほぼ誰も使わず「秘境路線」のような存在になっています。
いっぽう、東名は「秦野中井IC」という強烈な渋滞ポイントがあり、ドライバーを常に悩ませる存在です。
新東名が全通さえすれば、秦野中井ICをスルーして、新東名で通過できるようになります。主要渋滞地点の解消のためにも、新東名の全通が望まれています。
■で、いつ全通するの?
気になる開通予定ですが、公式には「2027年度」をめざしています。つまり、2028年3月末までには開通するということです。
しかし、多くの人は「どうせまた延期になるんだろ」と、疑いの目を向けています。というのも、この区間の開通予定は、すでに何度も何度も延期になっているからです。
当初予定は「2020年度」でした。しかし「2023年度」に延期。その後「開通年度は未定」となり、2022年末に「2027年度」へ再度延期されました。
すでに7年も延び延びになっていて、「今更開通しても遅いよ、もう期待していません」という空気さえ漂う新東名。またいつものように再度延期になってしまうのでしょうか。
そのキーとなるのは、神奈川県松田町と山北町をつなぐ「高松トンネル」です。予想外の複雑で悪い地質に阻まれ、湧水や崩落などの対策に追われることとなり、工期が見通せない状況になっていました。
しかしこの難所については、2024年11月に開かれた連絡調整会議では「脆弱な地山の出現や、湧水が発生するなど自然的要因によって掘削が難航しているが、2027年度の開通に向け安全かつ慎重に工事を進めている」という報告になっています。
この報告は久々となる「工期に影響するネガティブ要素が、ほぼ無い」内容と言えます。
具体的に今どこまで進んでいるのでしょうか。詳細は以下のとおり。
■上り線トンネル(2851m):神奈川県側から1770m完了、静岡県側から8m完了
■下り線トンネル(2864m):神奈川県側から1600m完了
これを見ると、まだ半分を越えたくらいです。となると、この先で「また別の想定外の地質に遭遇しました。2027年度開通予定は、いったん白紙にします。延期にします」となる可能性も、無いとは言えません。
果たして、難所をとりあえず越えたトンネル工事は、「次なる難所」に当たらずに、無事貫通を迎えることができるのでしょうか。今後の動向に注目です。