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メルセデス・ベンツ新型「Gクラス」、39年振りの全面刷新もあえてフルモデルチェンジと言わない意図とは?

くるまのニュース 2018年6月6日 20時19分

メルセデス・ベンツの「Gクラス」が39年振りに全面改良を施した新型「Gクラス」を発表しました。実際には旧型とは全く別物の新型「Gクラス」なのですが、メルセデス・ベンツはあえて「フルモデルチェンジ」と言いません。なぜなのでしょうか?

■見た目は似てるが中身は別物!でもフルモデルチェンジと言わない新型「Gクラス」

 メルセデス・ベンツの「Gクラス」は、1979年に最高級クロスカントリービークルとして誕生したSUVです。その「Gクラス」が39年振りに全面改良を施した新型「Gクラス」を発表しました。

 実は「Gクラス」、基本的なスタイリングや堅牢なボディはそのままに、常に時代に合わせて進化してきましたモデルでもあります。今回は全面でほぼ新たな部品を使い、これまでのGクラスとは全く別物として誕生した訳ですが、メルセデス・ベンツは、あえて”フルモデルチェンジ”とは言っていません。なぜなのでしょうか? メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長に伺ってみました。

――あえて新型「Gクラス」をフルモデルチェンジと言わない理由とは?

「Gクラス」はこれまで、昔のアイコンを39年間も引っ張ってきた独特のモデルです。実際には新型と現行モデルとの共通部品はほとんどないのですが、「Gクラス」は時間を超えたというか、その時代ごとにしっかりと進化させてきました。

 フルモデルチェンジと言おうが、マイナーチェンジと言おうが、どんな言い方をしてもこれまで改良してきたどの世代のGクラスにも”良さ”があるということで、独ダイムラー社(以下:本社)はあえてフルモデルチェンジとは言ってませんね。

 日本はしばらく新旧併売をします。新型が出ると言っても旧型(現行型)も順調に売れています。やはり「Gクラス」は特別で、その時代の”良さ”を感じているお客様が多いクルマなのです。

 先ほども言った通り、新型と現行型の共通部品はほぼないので、正確には全くの別物と言えます。足まわりから、モノの考え方までです。ただ「ラダーフレーム」という基礎となるところは継続して使っていますので、マイナーチェンジとも言えます。「Gクラス」は常に進化するべきところは止まることなく進化させてきました。見た目のアイコンは残してきたというだけなのです。そういう意図もあって「Gクラス」は”フルモデルチェンジ”とは言わないのです。

■「Gクラス」の新旧併売は日本だけ?

――新旧併売とのことですが台数割合はどのくらいですか?

新型Gクラス発表会でスピーチするメルセデス・ベンツ日本の上野社長

 現行型の車両はほぼ日本に入ってきています。今の売れ行きだと今年いっぱい在庫が持つのか? そんな感じです。新型が出たということで、現行型を買い急いでいるお客様も多いです。

 現行型のファイナルエディション仕様には、変わった色も用意したので、現行型の最後の1台を持っておきたいという方もいらっしゃるようです。

 お客様には実際に新旧で乗り比べてもらい、ご自分の好みに合う方を選んでいただければいいと思います。「Gクラス」に求めるものが”とにかくシンプルがいい”方は現行型、”常に新しいものがいい”という方は新型を選んでいただければと思いますね。

 ちなみに「Gクラス」は中古車の相場も下がらないんです。新型が出ても今のところ変わらないようです。ただこの先のことまでは予測はできませんが、かなり安定した相場のままな気がします。実は現行型の中古を私も探しているのですが、なかなかいい出物がなくて…。

――「Gクラス」の新旧併売は日本だけ? グローバルには?

 正確には他国のことはわかりませんが、たぶん日本だけだと思います。ほとんどの国は新型に切り替えているようです。しかし、日本は特にディーゼルの需要が高かったので、その意味でもディーゼルモデルが設定されている現行型やファイナルエディションを欲しがる方がいらっしゃいますね。
 
 それもあり、日本としては現行型の枠をかなり押さえました。本社からは「新型だけに切り替えなくて本当にいいのか?」と言われました(笑)。

■高級SUVのマーケットはまだ伸びる?

――高級SUVの今後のマーケット見通しは?

メルセデス AMG G 63

 10年前は統計値で「SUVはそんなに人気が無いね」と言っていましたが、今は風変りしてきたようで車高が高いSUV風なモデルでも、かなり人気がありますね。これは国産・輸入車問わず、人気があると思います。

 メルセデス・ベンツとしても「GLC」「GLE」「GLS」と、SUVモデルを用意しており、おかげさまで順調に台数を伸ばしています。そしてこの「Gクラス」も安定した台数で推移していますので、たぶん輸入車の中ではSUVを一番売っているブランドではないかなと。種類が多いこともありますけれどもね。

 マーケットの見通しという意味では、SUVはコンパクトから大柄なサイズまであるので一概には言えませんが、コンパクトなSUVはまだまだ伸びていくのではと思っています。Gクラスのような枠にとらわれないモデルは安定的に今後も売れていくと思います。

 ※ ※ ※

 新型「Gクラス」は、見た目のアイコンこそ変わらないですが、伝統を最新技術で大幅なアップデートされています。機能性や居住性はもちろん、ラグジュアリーさも向上されているのは見ればすぐにわかります。

 シンプルな現行型か、ほぼすべてが生まれ変わった新型を選ぶか、好みの「Gクラス」を選べる時間は年内いっぱい、あるかないかということですので、現行型を希望する方はあまり時間がなさそうです。

 ちなみに、新型Gクラスの納車開始は、8月下旬からを予定しているとのこと。価格(消費税込)は、「G 550」が1562万円、「メルセデス AMG G 63」は2035万円です。

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