石川県能登地方の地震被災地で、避難所トイレの衛生環境が悪化している。住宅の倒壊や火災で多くが避難所生活を余儀なくされている中、流す水が不足し、道路寸断で仮設トイレの配備も遅れているためで、「もう限界」との声も上がる。感染症のリスクや、トイレを我慢し水分を取らずに脱水症状を引き起こす危険性も懸念される。
「誰も排せつできない状況だ」。被害の大きい県北部にある珠洲市の泉谷満寿裕市長ら被災地の首長は、オンライン出席する県の対策会議で連日、避難所のトイレを巡り悲痛な叫びを発する。輪島市の坂口茂市長は会議で「ごみ袋の中に用を足し、1カ所に捨てている」と現状を報告、衛生環境悪化を懸念した。
珠洲市内の小学校に避難中の60代男性は「一番欲しいのは水」と訴える。仮設トイレはなく、トイレの数も不足。学校のトイレ前には悪臭が立ちこめ、避難者らが順番待ちの列に並ぶ。断水のため、バケツでプールなどの水をくみ、活用している。学校でのトイレ利用を避け、用を足す時だけ損壊した自宅に戻る人もいた。