大相撲の三段目力士で、東日本大震災を経験した宮城県石巻市出身の石東(25)=本名鈴木章史、玉ノ井部屋=がエディオンアリーナ大阪での春場所2日目の11日、今場所最初の相撲で白星を挙げた。初土俵の2014年3月11日からちょうど10年。「今日は勝ちたかった。石巻のお相撲さんが頑張っていると伝えられれば」と思いを込めた。
小学6年の時に石巻市で被災。両親や5人のきょうだいは無事だったが、津波で同級生が亡くなった。仮設住宅で生活していた中学1年の夏、炊き出しで訪れた玉ノ井部屋関係者から勧誘され、力士を志した。
関取になる目標は果たせていないが「応援してくれている人は増えてきた」と実感する。縁の深い3月11日に新たな一歩を踏み出し「震災を忘れないでもらうためにも頑張りたい」と決意を語った。