【ニューヨーク共同】カナダの総選挙に中国が介入しようとしたとの疑惑で、カナダ政府が設置した調査委員会は3日、初期報告書を公表した。2019年と21年の総選挙に外国からの介入があったと認定し、中国が「最も執拗で、高度な技術を持つ脅威」と結論付けた。大勢に影響はなかったが「汚点だ」として政府に対策を求めた。
報告書によると、21年の総選挙前、最大野党の保守党のオトゥール党首が中国との断交や、中国の通信アプリ、微信(ウィーチャット)の禁止を検討しているなどの偽情報が出回った。保守党は下院で中国新疆ウイグル自治区での「ジェノサイド(民族大量虐殺)」非難決議を提出していた。
保守党の議員の一人は外国政府によるロビー活動の透明性向上を目指した法案を推進。同議員の狙いは中国系社会の弾圧だと中国語の現地紙が報じるなどしたため、有権者から「反中」との批判を浴びて落選した。
報告書は中国共産党系のメディアで誤解を招く情報が取り上げられており「中国政府の関与を強く示している」と指摘した。