【丹東(中国遼寧省)共同】食糧の自給に不安を抱える北朝鮮が、電力や鋼材など12分野にまたがる今年の経済活動のうち「穀物」を最重要目標に掲げ、農産品増産に向けた活動を本格化させている。昨年より早い5月初旬に田植えを開始。中国遼寧省丹東から鴨緑江を挟んだ北朝鮮北西部・新義州でも15日、農作業に汗を流す住民の姿が確認された。
田植えは穀倉地帯の西部、黄海南道で1日に始まったのを皮切りに、各地に広がっている。堆肥の増産やかんがいの整備にも力を入れている。
国営メディアによると、2023年は穀物の生産目標を3%上回ったが、22年は不作による「深刻な食糧難」が起きた。金正恩朝鮮労働党総書記は住民に「質の高い基礎食品」を確実に提供することが差し迫った課題だと表明し、24年に大規模な野菜温室農場や養鶏場が相次いで新設された。
専門家によると、旧来はコメとトウモロコシの生産が主体だったが、小麦が原料のパンなどの加工品が好まれるようになり、21年12月にコメと小麦を農産品の柱とする大きな政策転換があった。