Infoseek 楽天

木曽漆器にパンダやペンギン描き親しみを 長野・塩尻の蒔絵師、父と新風吹き込む

共同通信 2024年7月7日 17時3分

 長野県塩尻市で約400年の伝統がある木曽漆器を、なじみのない若い世代や外国人にも手に取ってもらいたい―。蒔絵(まきえ)師の娘が塗り師の父と共に、パンダやペンギンを描いたカラフルなコップを制作。「かわいい」「親しみやすい」と評判も上々だ。漆器作りに新風を吹き込もうと、試行錯誤を続ける。(共同通信=橋本圭太)

 コップのデザインを手がけたのは、塩尻市の手塚希望(てづか・のぞみ)さん(33)。大学卒業後、江戸時代創業の実家「ちきりや手塚万右衛門(まんうえもん)商店」を手伝おうと東京から戻った。7代目の父英明(ひであき)さん(68)に相談し、地元の蒔絵師の下で修業を10年積んだ。

 「今までに何百本、何千本と直線を練習で描いた」。蒔絵筆の穂先は細長く、漆に粘り気もあるため、真っすぐ線を描くのは難しい。「実は絵を描くのが得意でない。でもうまくいかないことが楽しい」と手塚さん。英明さんは「好きならやりなさい」と温かく見守った。

 手塚さんが動物の蒔絵を施したコップは、飲み物を注ぐと動物が浮いたように見える。その名も「ぷかぷカップ」。今年1月に県の伝統工芸品展と同時開催された新作展で大賞を受賞した。

 評判を聞き、老舗を訪れる人も徐々に増えているという。より多くの人に親しみを持って使ってもらえる漆器へのこだわりも強くなった。

 同時に「次は大きな作品に挑戦したい」との気持ちも芽生え、最近はアップライトピアノへの装飾にも関心が広がる。夢は大きい。

この記事の関連ニュース