東京女子医大や同窓会組織の一般社団法人「至誠会」における不透明な資金の動きなどを調べた第三者委員会は2日、報告書を公表した。岩本絹子理事長に権限が集中する「1強体制」に問題があり、大学がガバナンス(組織統治)不全だったと認定。抜本的な改革が必要だとした。
報告書では、大学の経営統括部の業務を岩本氏の知人が経営する会社に委託したことなどについて、必要性や妥当性が曖昧なまま承認されており、決裁上の不備があったと指摘。至誠会から大学へ出向した職員を、同社が雇用する形にした後も、至誠会からの給与や賞与が支払われ続けたとし、二重払いと評価した。
医学部卒業生の親族向け推薦入試で、至誠会が受験生側から寄付を受けていた問題にも触れた。願書に寄付実績の記載欄が設けられ、受験生側に心理的な負担を与えたと判断した。
さらに、教員の採用や昇進に至誠会への寄付を関連させて評価していた点も、公正とは言えないとした。「入試に受かりたい、昇進したいという相手の弱い立場につけ込んだ」と非難している。