中国のインターネット上で、パリ五輪で振るわなかった自国選手に対し誹謗中傷が殺到している。アスリートへの言葉の暴力は、日本でも大きな問題になっているが、中国では機会の不平等など社会への不満も表出したとの見方がある。
「調子の悪い選手を使うな」「民族の罪人だ」。7月29日、中国が日本と優勝を争った体操男子団体総合の決勝。鉄棒で2度落下した蘇イ徳(24)は記者会見で謝罪したが、金メダルを逃したのは蘇のせいだと中傷が収まらなかった。
短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」には「銃殺を提案する」と脅迫めいた言葉も書き込まれ、香港メディアによると「蘇の謝罪」とのハッシュタグ(検索目印)が注目度で一時トップとなった。蘇は自身のアカウントのコメント欄を閉鎖せざるを得なかった。
国営通信新華社も「蘇の度重なるミスが、みんなの夢を徹底的に砕いた」と厳しく指弾した。
日本でも、交流サイト(SNS)での選手バッシングは2021年の東京五輪で問題となり、今回のパリ五輪でも被害が相次ぐ。