イスラエル軍が地上侵攻を続けるパレスチナ自治区ガザ情勢を巡り、世界食糧計画(WFP)のモガラビ報道官は5日までに共同通信のオンライン取材に応じ、深刻化する食料不足が「免疫システムを弱め、特に子どもは病気に感染しやすくなる」と懸念を表明した。戦闘開始からまもなく10カ月。ガザでは、餓死者が出るほど人道状況が悪化するが、改善の見通しが立っていない。
モガラビ氏は、飢餓の影響を最も受けるのは「間違いなく子どもだ」と強調。栄養不良は子どもの成長阻害を引き起こし、慢性疾患などにつながりかねないと訴えた。
さらに「市民はごみとがれきの山、汚水の川に囲まれている。気温は上がり、蚊もいる」と指摘。こうした状況は「感染症の拡大を引き起こす完璧なレシピだ」と警戒した。
ハマス壊滅を掲げて激しい攻撃を続けるイスラエル軍はガザ住民に退避命令を繰り返し出している。モガラビ氏は、住民は何度も退避を余儀なくされ、「疲れ果てている」と説明。高齢者や障害を負った人もおり、退避命令に対応するのが困難だと指摘した。