関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)で作業員5人が死亡、6人が負傷した蒸気噴出事故は9日で発生から20年。破裂した配管は28年間一度も点検されておらず、「利益優先」の方針の裏で安全性が後回しにされたことも原因と指摘される。
2004年8月9日午後3時20分ごろ、美浜3号機のタービン建屋で2次冷却水の配管が破裂し、高温の蒸気が噴き出した。5日後に計画されていた定期検査の準備のため、配管近くで下請け会社の作業員11人が作業していた。
旧原子力安全・保安院の報告書などによると、破裂した配管は検査リストから漏れ、1976年の運転開始から点検されなかった。事故1カ月前には関電大飯原発1号機(同県おおい町)で基準以下まで減肉した配管が見つかったが、美浜3号機をすぐに点検せず、定検まで先送りした。
関電の利益重視の姿勢も指摘された。同機は1日動かすだけで億単位の利益が出るとされる。定検期間の短縮が全社的に進められ、事故を目撃した関電関連会社社員は「少しずつ安全が後回しにされていった」と打ち明ける。