東京電力は、2030年代に計画する福島第1原発3号機の溶融核燃料(デブリ)の本格的な取り出しに向け、原子炉格納容器の貫通部外側の調査を始める。放射線量の測定やカメラによる映像確認を実施する予定で、9月から準備作業に着手し、10月ごろ開始する。
東電によると、貫通部はもともとは格納容器内の機材の出し入れ口。今月にも2号機で始める初の試験的採取の際には、デブリ取り出し装置の投入口になる。2号機の貫通部外側では、毎時千シーベルトを超える極めて高い放射線を確認。東電は3号機も同様とみている。
貫通部外側は前室と呼ばれる空間があり、コンクリートを詰めた鋼製の壁3枚で遮蔽している。調査では、この壁に遠隔操作で直径13センチの穴を開け、前室に調査機器を挿入。線量の測定やカメラでの状態確認のほか、貫通部のふたや壁の拭き取りを行い放射性物質のサンプルを採取する。東電は収集したデータを基に、格納容器の内部調査やデブリ取り出しへの活用を検討する。
デブリは1~3号機に計約880トンあると推計されている。