政府は、日向灘を震源とする地震で気象庁が初めて出した南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)に伴い、太平洋沿岸など被害が想定される地域を中心に、高齢者施設の防災準備を促す。厚生労働省は、各施設に非常時の電源確保や連絡態勢の確認を呼びかけた。津波到達が予想される海沿いの各施設は、備蓄品や避難計画の再点検を急いでいる。
厚労省は全都道府県に対し9日付で、高齢者施設での自家発電設備の燃料確保や連絡態勢の確認、災害への注意喚起を徹底するよう要請した。各地の保健師らでつくる災害派遣福祉チーム(DWAT)が施設や避難所で迅速に活動できるよう準備を整えることも依頼。11日午後4時時点で各地の高齢者施設の被害情報は入っていないという。
特別養護老人ホームなどの高齢者施設は、車いすを利用したり認知症があったりして、介助がないと避難が難しい人が多く入居する。過去には、特養の多数の入居者が水害などで亡くなる事例が繰り返されてきた。特に夜間は職員が少なく、避難計画づくりや備蓄の確保といった備えが重要となる。