東京電力は福島第1原発事故後初めてとなる溶融核燃料(デブリ)の取り出しを、早ければ8月末にも2号機で始める。デブリ取り出しは福島第1原発廃炉への最難関。今回採取するのはわずか数グラムで、炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機で推計880トンとされるデブリの全量取り出しへの道筋は描けず、廃炉の最終的な姿も示されないままだ。
国と東電の廃炉工程表では、取り出しが始まれば事故後30~40年とする工程の最終盤に当たる第3期に入る。今回は伸び縮みするパイプ式装置を遠隔操作で原子炉格納容器に投入し、デブリを試験的に取り出す計画で、回収完了までは2週間程度かかる見込み。
装置は、太さ20cmと16cmのパイプがつながり、釣りざおのように最大約22mに伸びる。このパイプを格納容器の横にある貫通部から差し込む。
貫通部の先にはレールがあり、原子炉圧力容器を支える土台につながっている。パイプ先端には、爪型装置を据え付け、デブリをつかむ。土台内部に入った後、回収を試みる。取り出すのは3グラム未満としている。