全国有数のミカン産地、愛媛県宇和島市で今年春、JAえひめ南が生産の後継者を育成する「みかん学校」を開設した。農家の高齢化に加え、2018年の西日本豪雨の影響で担い手不足が急速に進み、生産量が減少傾向にあるためだ。JAの担当者は「主力の産地やブランドを守りたい」としている。
同JAによると、管内の主要な共同選果場4カ所への出荷者数は13年に1205人だったが、23年には1021人と1割以上減った。西日本豪雨で土砂災害に遭った園地は再生に時間がかかり、高齢の生産者が営農再開を諦めたケースもある。
こうした傾向を食い止めようと21年度、愛媛県の「みかん研究所」や宇和島市などと会議を立ち上げ、担い手対策の検討に着手。国などの補助金を活用し、農業機械や園地の整備を進め、学校開設にこぎ着けた。
本年度は市内外から5人が入校。年間計1200時間以上の実習と座学を受け、栽培技術や農業経営を学ぶ。受講料は不要で、JA側が卒業後に借りられる市内の園地を用意し就農を支援する。