沖縄本島北部で2025年夏の開業を計画するテーマパーク「JUNGLIA(ジャングリア)」が採用活動を本格化させている。千人を超える人材の獲得へ県内外で説明会を開催。沖縄の新たな観光スポットを目指した投資額は約700億円で、雇用の規模、条件とも破格だ。地域振興の期待は大きい。(共同通信=吉岡駿)
「沖縄から日本の未来をつくる思いで入ってきてほしい」。沖縄県名護市で7月2日に開いた契約社員やアルバイト向けの初めての採用説明会で、運営するジャパンエンターテイメント(同市)の人事責任者の岩崎司(いわさき・つかさ)氏は呼びかけた。約100人の参加者のまなざしは真剣だ。
契約社員の月給は22万円、アルバイトの時給は1200円から。県内の最低賃金は現在896円で、平均水準を大幅に上回り、転居費用や家賃も補助する。転職を検討する名護市の派遣社員の女性(22)は「“都会的”な条件にひかれた」と語る。
テーマパークの開業時の面積は約60ヘクタールに上る。絶景を体験できる気球といったアトラクションや、自然を眺めながら楽しめるスパ施設やレストランを用意する。出資企業にはオリオンビールなど県内企業の多くが名を連ねる。
産業が乏しいと言われる本島北部で新たな目玉として注目を集め、地銀幹部は「同じ北部にある人気の沖縄美ら海水族館とセットで観光の呼び水になる」と見通す。
立ちはだかるのは人材確保だ。経済産業省によると「遊園地・テーマパーク」の2023年の従業員数は4万7638人で、前年比16.4%増えた。現在約100人を雇うジャパンエンターテイメントは開業までに約1200人の上積みを狙うが、新型コロナウイルス禍で離職が相次いだ観光業界は沖縄でも働き手が足りていないのが実状だ。
同社は2023年2月に名桜大(名護市)と包括連携協定を結び、インターン生の受け入れなどを進める予定。ただ、県内で人材獲得の競争が激化すれば、他事業者の人手不足が深刻化する懸念が出ている。
岩崎氏は「県外からも人材を招き入れ、地域の事業者と共生していきたい」と話している。