【北京共同】中国北京市で昨年3月、アステラス製薬の日本人男性社員が拘束された事件で、中国検察当局が男性をスパイ罪で起訴したことが21日分かった。日本政府関係者が明らかにした。起訴により公判手続きに入るため、男性の拘束長期化は必至。日本政府は早期解放の働きかけを続ける方針。
同社の広報担当者は「起訴されたことは事実。裁判が係属中なので、これ以上のコメントは差し控えたい」と話した。
北京市の中級人民法院(地裁)で審理が進められる見通し。中国に進出する日系企業でつくる中国日本商会の要職に就いた経験もある男性の拘束が長期化することで、日本の対中投資や両国間の人的交流に悪影響を与えそうだ。
男性は50代でアステラスの現地法人幹部を務めたベテラン駐在員。昨年3月の帰国直前に拘束され、同年10月に国家安全当局に正式に逮捕された。今年3月に起訴するかどうかの当局による審査が始まっていた。
岸田文雄首相は昨年11月、習近平国家主席との首脳会談で、男性を含む中国で拘束された邦人の早期解放を要求していた。