三河湾などで取れる深海魚のおいしさを知ってもらおうと、水揚げ地の愛知県蒲郡市や漁業関係者らがPRに取り組んでいる。販売やイベントで魅力を伝える「深海魚まつり」を開催し、水族館は展示や動画配信に工夫を凝らす。うまみ成分が多く含まれる魚もあり、「知って、食べて、好きになって」と力を込める。(共同通信=野本めぐみ)
深海魚は主に水深約200メートルより深い所に生息し、脂の乗りが良いとされる。蒲郡漁業協同組合には、県内に4隻しかない「沖合底引き網漁船」が全て所属。魚のえさとなる生物が豊富な三河湾や沖でメヒカリやニギスなどの漁を行っている。
市は、蒲郡で水揚げされた魚の成分分析結果の考察を専門家に依頼。メヒカリに含まれるうまみ成分のグルタミン酸が他地域のサンマの約2倍であることなど効能の高さをまとめ、2018年に公表した。
三河湾に面する竹島水族館は、130種類以上の深海魚を飼育、展示する。キンメダイやムツが泳ぐ「おいしい深海魚水槽」のコーナーが人気という。職員自らが深海魚の調理方法を紹介する動画もユーチューブで配信している。現在、別館を建設しており、大きな水槽で深海生物のタカアシガニなどを多数展示する予定。10月ごろにオープンする。
11月2、3日には、市内の漁業関係者らが5回目となる「がまごおり深海魚まつり」を企画。昨年は深海魚を販売し、子どもたちに食べ方を教える教室を開くなどして約1万人を集めた。運営に携わる山本水産(蒲郡市)専務の山本大輔さん(55)は「深海魚は怖いイメージがあるかもしれないが、おいしいのでぜひ食べてみて」と話している。