1995年の阪神大震災をきっかけに神戸地裁管内で審理された民事訴訟に関し、事実上永久的に保存する「特別保存」に指定された訴訟記録が1件もないことが地裁への取材で3日分かった。民事訴訟の記録の保存期間は原則5年で、50年保存の判決原本を除くほぼ全ての震災訴訟記録が廃棄されたとみられる。
阪神大震災では高速道路の倒壊や災害関連死などが問題となり、後に関連訴訟が相次いだ。停電した兵庫県芦屋市の病院で人工呼吸器が止まり男性が死亡、妻が市に災害弔慰金を求めた訴訟など内容は多岐にわたる。
神戸地裁によると、今年8月27日時点で特別保存に指定した民事訴訟の記録は11件。共同通信が確認したところ、この中に阪神大震災関連の訴訟は含まれていなかった。
裁判記録に関しては22年、神戸連続児童殺傷事件(1997年)をはじめとする多くの重大少年事件の記録が廃棄されていたことが各地で判明し、最高裁が対応を見直した。今年1月施行の新規則で、史料として価値のある記録を「国民共有の財産」とする理念規定を明記した。