重い遺伝性の病気が子どもに伝わらないよう、体外受精した受精卵の遺伝子を調べる「着床前診断」を巡り、日本産科婦人科学会は7日、記者会見し、来年4月にも倫理審議会を開き、対象疾患の拡大も含めて議論する方針を示した。
学会によると、この日東京都内で開いた理事会で倫理審の開催を承認。会合は複数回を想定している。詳細な議論の方向性は未定だが、学会関係者によると、遺伝性のがんなどの位置付けについて検討する可能性もあるという。
学会は従来、成人までに亡くなったり、日常生活を著しく損なったりする可能性がある重い遺伝性の病気に限って着床前診断を認めてきた。2022年に対象を拡大。成人以降に発症する病気や、生命に直接影響を及ぼすことは少ないが身体の機能を失う病気に関しても検査を行えるようにした。
学会は8月下旬、対象拡大後、申請件数などを初めて公表。23年に計72件の申請を審査し、従来は認められなかった目のがん「網膜芽細胞腫」の患者からの申請も含め、うち58件を承認したと明らかにした。