東京電力は9日、作業ミスで中断した福島第1原発2号機での溶融核燃料(デブリ)取り出しに向けた作業の再開を、10日早朝の開始時点では公表しないと明らかにした。前回の8月22日は準備作業開始を発表した後にミスが判明し、作業が中断。廃炉の最難関とされるデブリ採取での再度のミスを警戒し、公表のタイミングを遅らせるとみられる。
情報公開を後退させる理由について東電は「ミスを隠す意図はなく、作業に集中するため」と釈明した。9日の記者会見では説明しなかった。
作業中断となった先月22日は午前7時24分に準備を開始。デブリ取り出し装置を押し込むパイプが順番通りに配置されていないことが判明し、わずか約1時間半後に作業を中断した。東電と元請けの三菱重工業は下請けがパイプを搬入した後、一度も現場を確認しておらず、監督官庁の経済産業省や地元の福島県から批判を受けた。
東電は今回、装置が貫通部手前の放射性物質を遮断する「隔離弁」を通過し、「デブリの取り出し開始」となった段階で公表するとしている。