太陽からエックス線などの電磁波やプラズマ粒子が爆発的に放出される「太陽嵐」による宇宙空間での電波の揺らぎを、名古屋大のチームが観測したことが10日、分かった。5月11日夜に北海道などでオーロラが出現した前日に観測したといい、チームの岩井一正准教授は「今後、オーロラや地球での『磁気嵐』をより早く予測できる可能性がある」としている。
太陽嵐は、太陽表面の巨大な爆発「太陽フレア」が頻発して起きる。太陽系外の天体の電波を観測中に太陽嵐が横切ると電波に揺らぎが生じる。
チームは、愛知県豊川市にある国内最大級の電波望遠鏡の観測データを解析。するとオーロラが発生した前日の5月10日に、大きな揺らぎを確認した。
名古屋大を中心に、現在の10倍の太陽嵐観測性能を実現する新たな電波望遠鏡の開発が計画されているという。今回の観測結果は9月11日に兵庫県三田市で開かれる日本天文学会で発表する。
太陽嵐が地球に到達すると、人工衛星が故障したり、磁気嵐が起きて日本のような低緯度地域でもオーロラが観測されたりする。5月11日夜から12日明け方にかけ、北海道や石川県などでオーロラが観測された。