日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収計画について、審査を行っている対米外国投資委員会(CFIUS)が日鉄による再申請を認めることが17日、分かった。米政府による買収禁止は当面回避できる。関係者によると、日鉄は23日までに申請を取り下げ、改めて出し直す。再申請の審査の結論は11月の米大統領選以降に持ち越される。
共和党候補のトランプ前大統領が買収阻止を明言し、民主党候補のハリス副大統領を援護するバイデン大統領が阻止命令に向かうなど政治に翻弄された買収劇は新たな段階を迎える。
買収を巡っては、昨年12月の発表直後に全米鉄鋼労働組合(USW)が反対を表明。USスチールの本社が大統領選の行方を左右する激戦区の東部ペンシルベニア州にあり、民主、共和両陣営が労組票を取り込もうと買収に反発した。
一時はバイデン氏が阻止に向けて最終調整に入ったともされた。日鉄は政治介入の可能性が低い大統領選後に照準を合わせ、戦略を練り直すとみられる。日鉄はCFIUSの審査について「コメントできない」としている。