岡山市の岡山理科大は来年4月、全国に先駆けて「恐竜学科」を開設する。以前からある専門コースを格上げ、講義や実習、教員の数を増やして教育研究体制を強化する。大学の恐竜研究は地質学や古生物学が中心だが、学科とすることで生命科学など多様な視点も含めた「総合科学」として学べるようにすることを狙う。(共同通信=井上陽南子)
恐竜研究に取り組む実吉玄貴准教授は「西日本における恐竜の新たな教育研究拠点を目指し、総合理科大としての強みを生かして研究を発展させたい」と意気込んだ。
岡山理科大は2014年、地元のバイオ企業が取り組んでいたモンゴル・ゴビ砂漠での恐竜の化石発掘調査を継承し、生物地球学部に恐竜・古生物学コースを設置。世界最大級となる恐竜の足跡の発見や、新たな年代測定法を開発するなどの研究結果を発表してきた。
近年は入学後のコース希望者数が定員の2~3倍になっており、「門戸を広げたい」と格上げを決定。実吉准教授は希望者の増加について「設置から10年がたち、恐竜を専門として指導できる教員も育ってきたからではないか」という。
新学科の定員は従来の約1.5倍の45人で、教員も2倍の8人になる。化石に残ったタンパク質の検出やアミノ酸配列の解読、病理分析など生命科学的な視点を学ぶ科目を拡充したことが最大の特徴で、恐竜についてより多角的な研究が可能になるという。
コースの売りの一つがゴビ砂漠での発掘調査。これまで卒業論文に取り組む4年生と大学院生が中心に参加していたが、学科新設に伴い3年生も実習として選択できるようにカリキュラムを組んだ。在学生からは「うらやましい」「入り直したい」との声が上がっているという。
実吉准教授は、化石や地層からのアプローチにとどまらない研究ができるとし「従来の研究では分からなかった恐竜の生態を解き明かしたい」と話した。