全国老人保健施設協会など民間の高齢者施設9団体は19日、介護事業所での賃上げ状況や物価高の影響に関する調査結果を公表した。2024年度の正職員の賃上げ額は前年度比33%増の6098円だった。賃上げ率は2.52%で、他産業より低かった。一方、施設側は物価高騰で光熱費などが上昇し、経営が圧迫されているとして政府に支援を求める方針。
調査は8月下旬~9月上旬に実施。8761事業所分の回答を得た。賃上げ額のうち、賃金を底上げするベースアップは56%増の3299円。
賃上げ額をサービス別に見ると、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)など施設サービスでは33%増。通所介護や訪問介護など在宅サービスでは31%増だった。
光熱費などの物価高騰の影響も調査。特養や老健などの6月の電気代は20年6月と比べて55%増。同様にガス代は51%増、燃料費は32%増だった。
協会の東憲太郎会長は記者会見で「他産業への人材流出を危惧している。政府には経済対策で物価高騰に対応できる支援を求めたい」と話した。