岸田文雄首相は、長崎原爆に国の援護区域外で遭い、被爆者と認められていない「被爆体験者」の救済策を21日に表明する方針を固めた。長崎地裁判決で被爆者と認められた15人に限定せず、支援対象とする方向で調整している。政府関係者が明らかにした。21日朝に公邸で大石賢吾長崎県知事、鈴木史朗長崎市長と面会し救済策を説明後、記者団に発表する。面会には武見敬三厚生労働相も同席する。
救済策を巡っては、長崎地裁判決で被爆者と認められた地域の人は、原告でなくても被爆者健康手帳を交付する案や、医療費支援を幅広く講じる案が取り沙汰されている。
長崎地裁判決は、一部の地域のみ被爆者と認め、政府は確定を避けるため控訴する方向で検討。控訴期限は24日に迎える。
首相は8月9日の「長崎原爆の日」に長崎市を訪問した際に体験者と初めて面会し、具体的な救済策の調整を武見氏らに指示していた。
長崎地裁判決は被爆者認定を求めて提訴した体験者44人のうち、死亡した2人を含む15人を被爆者と認め、県と市に被爆者健康手帳の交付を命じた。